東京工科大学、新品種候補の苺「東京幸華」開発　八王子市のパティスリーでケーキ商品化

東京工科大学応用生物学部の多田雄一教授らの研究グループは、イチゴの新品種候補「東京幸華（とうきょうこうか）」を開発した。今回は2025年1月8日〜2月7日、東京都八王子市のパティスリー「菓子工房ヴェールの丘」八王子みなみ野本店にて、同イチゴを使ったオリジナルケーキ「東京幸華」を販売する。価格は税込み800円。

今回は、同イチゴの加工品としての可能性と市場ニーズを探るべく、創業25年の同パティスリーの協力のもと、その名を冠したオリジナルケーキ「東京幸華」として初の商品化が実現。

ケーキの構成は、滑らかなマダガスカル産のバニラのムースと東京幸華を使ったコンポートを仏産イチゴのムースで包み、生クリームと東京幸華を飾った。仏名店などで修行を積んだ石井雄大シェフは「甘くて香り高い東京幸華と仏産の2種類のイチゴによる甘味と酸味のバランス、コクのあるバニラムースのシンプルな組み合わせで、東京幸華のおいしさを引き出せたと思います」とコメントしている。

香り高く甘みが強く、比較的穏やかな酸味が特徴の新品種候補の同イチゴは、植物工学を専門とする多田教授が、「東京発の甘くおいしい品種をつくりたい」との思いで2019年から研究開発に取り組んできた。既存品種の「越後姫」と「よつぼし」をそれぞれ片親にもち、通常の流通品種に比べて柔らかく、甘さを追求して交配と選抜を重ねた。

2023年9月より「町田いちご狩り農園」での試験栽培がスタート。2024年10月に大学名にちなんだ「東京幸華」として商標登録（登録番号6858437号）した。現在もさらに別品種を交配するなどして、より糖度が高い品種を目指して改良品種の開発や栽培試験を進めている。

また、2024年4月に新設した「食と農の未来研究センター」の活動の一環として、栽培環境や水耕液成分が及ぼす影響等をデータ化。「ITやAIを活用したスマート農業技術の開発などにも貢献してまいります」という。

【菓子工房ヴェール　丘八王子みなみ野本店】
住所：東京都八王子市⻄片倉2-6-5
電話：042-635-3568