【期待感】和菓子屋が洋菓子を作ると、なぜ妙に説得力が出るのか?

「ひとりじめショートケーキ」イメージコラム
「ひとりじめショートケーキ」イメージ
「セブンプレミアム 蜜芋あんバターサンド」税込み321円
「セブンプレミアム 蜜芋あんバターサンド」税込み321円

 和菓子屋が洋菓子を作ると、なぜか「やってみました感」が薄い。むしろ洋菓子店が同じ素材を使う以上に、妙な説得力が生まれることさえある。理由の1つは、和菓子屋には長年扱ってきた素材と技術という“持ち分”があるからではないか。

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 象徴的なのが、セブン‐イレブンの「セブンプレミアム 蜜芋あんバターサンド」だ。和スイーツブランド「鎌倉五郎本店」がプロデュースする「kamakura GORO 月うさレーベル」と共同開発。「紅はるか」100%の蜜芋あんとバターホイップを、ソフトバターサブレで挟んでいる。あんや芋は和菓子側にとってホームグラウンド。それだけに、単に人気素材を洋菓子へ足したというより、「得意素材の使い方を変えた」と受け止めやすい。

「ひとりじめショートケーキ」イメージ
「ひとりじめショートケーキ」イメージ

 こうした“越境”の例は複数ある。1907年創業の老舗和菓子店「元祖鯱もなか本店」は、イチゴとクリームを使った「ひとりじめショートケーキ」を展開。もなかの老舗が正面からショートケーキを作るという意外性そのものが、商品の物語になっている。

「抹茶ロールケーキ」イメージ
「抹茶ロールケーキ」イメージ

 老舗和菓子ブランド「築地ちとせ」から誕生した「抹茶ちとせ」では、宇治抹茶を使ったスポンジと抹茶クリーム、丹波黒大豆を組み合わせた「抹茶ロールケーキ」を展開。老舗和菓子店「お亀堂」も、生搾りモンブランにサブレだけでなく和菓子の「浮島」を組み込み、洋菓子の形に和菓子店らしい技を残している。

「生ナボナチーズ」イメージ
「生ナボナチーズ」イメージ

 さらに亀屋万年堂の「ナボナ」は1963年の発売時から、和菓子の感性を生かしながら洋菓子の楽しさを取り入れる発想で育ってきたロングセラーだ。つまり、和菓子店による洋菓子への越境は最近始まった現象でもない。

「日本橋榮太樓の黒みつ使用 ミルキーティラミスケーキ」イメージ
「日本橋榮太樓の黒みつ使用 ミルキーティラミスケーキ」イメージ

 もっとも、和菓子屋が洋菓子を作れば自動的に強くなるわけではない。説得力が出るのは、あん、抹茶、栗、芋、餅、黒みつなど、自社が長く向き合ってきた素材や技術と洋菓子の間に一本の線を引ける時だ。創業200余年の榮太樓總本鋪の黒みつやつぶあんを、不二家がティラミスやシュークリームに取り入れたコラボレーションも分かりやすい例である。

 消費者が感じるのは、「和と洋を混ぜた新しさ」だけではない。「この店なら、この素材をどう扱うか知っているはずだ」、「間違いない」という期待である。老舗の歴史は守っているだけでは新商品にならない。しかし、得意分野を別ジャンルへ翻訳した瞬間、その歴史そのものが商品開発の理由になる。和菓子屋の洋菓子が妙に気になるのは、そこに「意外性」と「必然性」が同居しているからなのかもしれない。

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