
食品の「規格外」と聞くと、品質が劣っているものを想像する人もいるかもしれない。しかし、実際には味に問題がなくても、見た目や大きさなどを理由に商品として使えなくなる食材がある。その価値は、加工方法を変えるだけで変わる可能性がある。
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例えば洋菓子ブランド「ユーハイム」は10月10日、石井食品と共同開発した「和栗きんとんモンブラン」を全国の一部店舗で発売した。石井食品の「栗ごはん」を製造する過程で規格外となった和栗を活用した商品だ。
石井食品では、栗本来の風味を損なわないよう、漂白や着色を行っていない。そのため、加工中に色調が変化した栗や、割れ、サイズなどの問題があるものは、商品規格から外れる場合がある。
ここで注目したいのは、規格外となる理由が、必ずしも味の問題ではないことだ。
栗ごはんでは、一粒ずつの栗が目に見える。色や形が不ぞろいであれば、商品の見栄えに影響する。しかし、モンブランのクリームに加工すれば、粒の大きさや割れといった問題はほとんど意味を持たなくなる。つまり、同じ栗でも、使用目的が変われば評価基準も変わる。

今回の商品は、和栗ペーストの配合率が約9割の濃厚なクリームと、約6割のまろやかなクリームを使用。栗の風味を生かしながら、カシスやナッツなどを組み合わせ、8層のケーキに仕立てた。
興味深いのは、規格外の食材を単に消費するのではなく、それ自体を商品の魅力につなげている点だ。従来、食品ロス対策というと、廃棄予定の食材を安く販売する取り組みが注目されやすかった。しかし、今回のように別の商品へ加工すれば、必ずしも低価格で販売する必要はない。素材の特徴を生かした付加価値の高い商品として展開できる。
これは、食品メーカーにとっても、ある種、発想の転換になりえるだろう。形が不ぞろいなイチゴはジャムやソースに、小さすぎるサツマイモはペーストに加工できる。見た目の評価が重要な商品では使いにくくても、別の用途なら十分に価値を発揮する。
もっとも、全ての規格外食材が加工によって救済されるわけではない。傷みや衛生上の問題があるものは使用できず、加工費や選別作業の負担も生じる。色の変化についても、仕上がりへの影響を確認する必要がある。
それでも、今回の取り組みは、食品の価値が素材そのものだけで決まるわけではないことを示している。
規格外とは、必ずしも食材の欠点ではなく、特定の商品に適合しないという評価でもある。大切なのは、規格に合わない食材をどう安く売るかだけではない。どのような商品なら、その素材の長所を発揮できるのかを考えることだ。
栗ごはんには使えなかった和栗が、モンブランでは主役になる。食品ロス削減の可能性は、食材の再利用だけでなく、商品設計そのものを見直すところにも広がっている。
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