【考察】栗のモンブランを食べながらケーキを予約 11月1日は秋なのかクリスマスなのか? スイーツ業界で“季節が渋滞”する理由

阪急うめだ本店「ケントハウス」の「マロンショコラ」税込み810円コラム
阪急うめだ本店「ケントハウス」の「マロンショコラ」税込み810円
阪急うめだ本店「ケントハウス」の「マロンショコラ」税込み810円
阪急うめだ本店「ケントハウス」の「マロンショコラ」税込み810円

 栗のモンブランを食べながら、クリスマスケーキを予約する。11月1日のスイーツ市場では、そんな異なる季節の楽しみ方が同時に成立している。

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 秋が終わってから冬が始まるのではない。むしろ、秋が深まるほどクリスマス商戦も勢いを増す。季節が重なり合う現象は、なぜ起きるのだろうか。

 大阪府大阪市の阪急うめだ本店では、11月1日~11月17日、「秋の味覚を楽しむ~いも・くり・かぼちゃ~」を開催。50種類以上のスイーツや食品を取り揃える。洋菓子では、「カサネオ(CASANEO)」の「季節のミルクリーム モンブラン」や、「ケントハウス」の「マロンショコラ」などを展開。さつまいもや栗を主役に、深まる秋を味わう企画だ。

シェラトン都ホテル東京「クリスマス リースタルト」税込み11,000円
シェラトン都ホテル東京「クリスマス リースタルト」税込み11,000円

 一方、同じ11月1日には、複数のホテルがクリスマスケーキの予約受付を開始する。ウェスティンホテル大阪は、新作7種類を用意。シェラトン都ホテル東京、ANAクラウンプラザホテル神戸、ホテルオークラ京都なども、この日から注文を受け付ける。

 興味深いのは、シェラトン都ホテル東京だ。同ホテルでは11月1日から「秋の紅葉アフタヌーンティー」を開始。愛媛県産の栗を使用したモンブランなどを提供する。つまり、1つのホテルの中で、秋を味わう企画とクリスマスの予約商戦が同時に進んでいるのだ。

 この現象を読み解く鍵は、消費者が商品を購入する「時間軸」の違いにある。

シェラトン都ホテル東京「秋の紅葉アフタヌーンティー」イメージ
シェラトン都ホテル東京「秋の紅葉アフタヌーンティー」イメージ

 モンブランやさつまいものケーキは、基本的に今食べたいから買う商品だ。秋の深まりとともに、濃厚な味わいや素材の風味を楽しみたいという需要が生まれる。11月は、秋のスイーツにとって決して遅い時期ではない。

 対して、クリスマスケーキは未来の予定に合わせて選ぶ。購入を決めるのは11月でも、実際に食べるのは12月下旬。家族の人数や好みを考え、希望の商品を確保する必要がある。

 ホテル側にも、早い段階で予約を集めるメリットがある。受注数を把握することで、製造や販売の計画を立てやすくなる。早期予約割引を設ける施設があるのも、購入の決断を前倒ししてもらうためだろう。

 つまり、秋のスイーツが満たすのは「今の食欲」であり、クリスマスケーキが応えるのは「未来の楽しみ」だ。同じ11月1日でも、消費者に求められる行動は異なっている。

 ここで重要なのは、季節を先取りすることが、必ずしも現在の季節を終わらせるわけではないという点だ。クリスマスの予約が始まったからといって、栗やさつまいもの魅力が薄れるわけではない。むしろ、秋の味覚を楽しみながら、年末の特別な一日を計画できる。季節の重なりは、消費者にとって選択肢の広がりとも言える。

 ただし、販売する側には難しさもある。先のイベントを強く打ち出しすぎれば、目の前にある旬の商品が埋もれかねない。未来の需要を取り込みながら、現在の購買意欲も逃さない。その両立が求められる。

 11月1日は秋なのか、それともクリスマスなのか。

 答えは、どちらでもある。スイーツ業界では、季節の境界線そのものが曖昧になっているのではない。「今味わう季節」と「これから準備する季節」が、別々の時間軸で進んでいるのだ。

 季節の渋滞は、消費者の楽しみ方が1つではなくなったことの表れなのかもしれない。

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