【毎年変わるのに誰もが知っている特殊キャラ】来年は全員「ひつじ」を作る? 干支という“無料の国民的キャラクター”

「干支スイーツ ~丁未~」イメージコラム
「干支スイーツ ~丁未~」イメージ
「干支スイーツ ~丁未~」イメージ
「干支スイーツ ~丁未~」イメージ

 毎年、年末年始になると、さまざまな商品に登場する「干支」。その存在を商品企画の観点から考えてみると、実に特殊なキャラクターであることに気付く。毎年主役が交代し、誰もが知っていて、しかも基本的には使用料がかからない。企業にとって、これほど扱いやすい題材は珍しいのではないか。

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 例えばシェラトン都ホテル大阪は、12月31日から2027年1月17日にかけて、2027年の干支「丁未(ひのとひつじ)」にちなんだ「干支スイーツ ~丁未~」を50台限定で販売する。生クリームで羊のもこもことした姿を表現した立体的なムースケーキで、フロマージュ・ブランやブルーベリーを使用。鯛や梅をかたどったスイーツを飾り、正月らしい華やかさも演出している。

 興味深いのは、干支が持つ「共通認識」の強さだ。一般的なキャラクター商品では、その存在や魅力を消費者に知ってもらう必要がある。しかし、干支ならば事情が異なる。2027年が羊年であることが広く認識されるにつれ、羊をモチーフにした商品は、それだけで新年とのつながりを伝えられる。商品自体が長々と説明しなくても、季節感を共有できるのだ。

 さらに、干支には「毎年必ず変わる」という特徴がある。2026年は馬、2027年は羊、2028年は猿。企業側が新たな流行を生み出さなくても、暦が変われば新しい題材が自動的に登場する。12年周期で繰り返されるため、商品企画の年間行事として組み込みやすい。

 しかも、干支そのものは特定企業が独占するキャラクターではない。既存のイラストや独自デザインには権利が生じるものの、一般的な動物を題材に商品を開発する際、キャラクターのライセンス契約を結ぶ必要は基本的にない。

 一方で、誰でも使えるからこその難しさもある。羊をケーキにするという発想だけなら、多くの企業が思い付くだろう。そこで差がつくのは、造形や素材、味わい、そしてブランドらしさだ。シェラトン都ホテル大阪のように、生クリームの質感を羊毛に見立てる方法もあれば、チョコレートやマカロンを使って表現することもできる。同じ動物でも、パティシエの技術や発想によって商品は大きく変わる。

 また、干支には明確な旬がある。正月が過ぎれば話題性は薄れやすい。それは販売期間の制約である一方、「今しか買えない」という限定感にもつながる。

 人気キャラクターとのコラボレーションが盛んなスイーツ業界。しかし、干支は誰もが知る文化的モチーフでありながら、毎年姿を変えて新鮮さを生み出すという、独特の強みを持つ。

 2027年の正月、各社がどんな「羊」を生み出すのか。同じ題材だからこそ、作り手の個性が問われる。干支スイーツは、ある意味、パティシエたちが年に一度挑む、共通テーマの作品展とも言えそうだ。

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