神奈川県厚木市:老舗喫茶店「ダンケ珈琲厚木店」の名物ケーキ「ケーゼクーヘン」と神戸発祥「バターブレンドカフェ」を実食

ダンケ珈琲「ケーゼクーヘン」神奈川県
ダンケ珈琲「ケーゼクーヘン」
ダンケ珈琲「ケーゼクーヘン」

神奈川県・本厚木駅の駅近くにある老舗喫茶店「ダンケ珈琲厚木店」。緑の看板を潜り抜けて地下1階に降りると懐かしくてホッとするような空間が広がっている。今回はケーキ「ケーゼクーヘン」、自家製の「本日のケーキ」、名物コーヒー「バターブレンドカフェ」などを紹介していく。

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「ダンケ珈琲」外観イメージ
「ダンケ珈琲」外観イメージ

「ダンケ珈琲厚木店」は1982年に創業。神戸で1977年に創業した「御影ダンケ」のブレンダー、寺口孝雄さんが1977年に編み出した唯一無二の珈琲「バターブレンドコーヒー」の虜になった当時のマスターが、厚木でも「御影ダンケのバターブレンドコーヒーを楽しめるように」と始めたのがきっかけ。

関東で「御影ダンケ」から同じ豆を仕入れている店は、同店のほか、上野の「アメ横ダンケ」があるが厚木店の方が歴史が古い。同じ豆を使用しているものの、コーヒーの淹れ方やその他のメニューは店独自で展開をしている。いずれも「御影ダンケ」を彷彿とさせるクラシックな雰囲気が漂う店が多いのが特徴だ。

現在の厚木店は、厚木市内では実は3号店目。過去の1号店は線路沿いに、大きなガラス窓の2号店は駅の近くに店をかまえ、多くの人が待ち合わせなどに利用されていた。そして3号店目は地下1階にオープン。その後1号店を閉じ、2号店・3号店のみで切り盛りした際に差別化を図るため、3号店ではランチメニューを始めたという。現在は3号店のみとなり、20数年が経つ。

「ケーゼクーヘン」税込み650円

「ケーゼクーヘン」は、創業以来変わらぬ味で提供している看板メニュー。初代マスターが店のオリジナルケーキを作りたい思いから誕生した。独語で「チーズケーキ」を意味する「ケーゼクーヘン」は、一般的なチーズケーキと少し違い、数種類のチーズをトッピングしたイングリッシュマフィンに北海道産の高脂肪な生クリームをのせており、バニラアイスが添えられている。イングリッシュマフィンや濃厚なチーズの塩気と生クリームほのかな甘みが重なり合い、甘じょっぱい味わいを楽しめる。また、しっかりとした食感のイングリッシュマフィンは食べ応え十分。

同店は「ケーゼクーヘン」のように、チョコとバナナを混ぜて焼いたチョコレートケーキにコーヒー味のアイスクリームをトッピングした「チョコラターゲン」や、ケーゼクーヘンやチョコラターゲンなど人気のケーキを少しずつ盛り合わせた「シュムック」など独語のメニューになっているのも特徴。これは初代マスターがドイツでの在住経験があることにちなんでいるという。

「本日のケーキ」税込み450円~

自家製の「本日のケーキ」は常連客から好評。今回提供された「バナナのパウンドケーキ」は、優しいバナナの甘みが口の中に広がる味わい。シフォンケーキやロールケーキ、ブラウニーなどで使われる小麦粉は、本厚木の製菓材料店「北川製餡所」で仕入れ、使われるリンゴや柚子なども本厚木在住の店長が仕入れた旬のものを使用している。価格はコーヒーとセットで税込み1,100円から。

「バターブレンドカフェ」税込み800円

同店名物の「バターブレンドカフェ」は、厳選した豆を焙煎した直後に、バターでコーティングするようにからめた豆を「御影ダンケ」から仕入れている。これは、ミルクを入れなくても味わい深いコーヒーをつくりたいという思いから生まれた独自の製法で、寺口さんが4年の歳月をかけて生み出したもの。おいしいものが手に入りにくかった戦時中に、豆をバターに絡めたらコクが深くなったという説も。バターがコーティングされた豆は艶があり、豆からはダイレクトにバターの香りが漂ってくる。なお、淹れ方は店によってそれぞれ違うという。

「ダンケ珈琲」イメージ

御影ダンケから仕入れた豆を1杯ずつ挽き、カリタの三つ穴ドリッパーで淹れていくのが厚木店独自のスタイル。珈琲を淹れる際に1杯ずつ挽く方法は、ドイツの女性が始めたとされ、同店もそれにならって淹れている。ほのかなバターのコクと脂質を感じられる深い味わいは「ブラックは苦手」という人から飲みやすいと言われるのも納得のまろやかさ。

カウンター越しに並べられたカップ&ソーサーは約80組。ホットドリンクをオーダーすると、高級洋食器の老舗メーカーである大倉陶園製やウエッジウッド製などさまざまなカップ&ソーサーの中から、好きなものを選べるようにしたのも3号店になってから。中には、常連客からの強い希望で永久的に置いているセットも。

「アイスウィンナーカフェ」税込み950円

コーヒーは3種の豆で提供される。バターブレンドカフェの製法でさらに深煎りさせた「ビュールカフェフランセ」は、ミルクや砂糖にも負けないエスプレッソのような味わいが特徴。独語で「特別」を意味する「ベゾンデルカフェ」は、飲みやすさを追求したあっさりとした味わいになっている。

写真の「アイスウィンナーカフェ」は、北海道の根釧地区の生乳のみで作られた濃厚な生クリームがトッピングされたウィンナーカフェだ。

【ダンケ珈琲 厚木店】
住所:〒243-0018 神奈川県厚木市中町4-14-5 五味ビル・地下1階
時間:10時~18時
定休日:火・水曜日
電話:046-225-8555

※なお、いずれも2025年4月現在の内容。価格などは変更される場合あり。

【取材・撮影・文:桐生奈奈子】

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