【考察】食品ロス対策でも“おいしそう”が先 食品ロス対策スイーツ最大の壁とは?

「バナナ&キャラメルケーキ」イメージコラム
「バナナ&キャラメルケーキ」イメージ
「アイスケーキ」イメージ
「アイスケーキ」イメージ

 食品ロスを減らすスイーツに必要なのは、環境への配慮を強くアピールすることなのだろうか。むしろ商品として長く定着させるには、「食品ロス対策だから買う」のではなく、「おいしそうだから買ったら、結果的に食品ロス対策にもなっていた」という順番が重要なのかもしれない。

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 岡山県で洋菓子店「ル・フォワイエ」を展開するル・フォワイエ社は、10月1日より「アイスケーキ コレクション」を本格販売する。特徴的なのは、生ケーキを作って余ったら冷凍するのではなく、最初から「アイスでケーキを作る」という発想で商品を設計していることだ。

 冷凍すると食感が変化しやすいジェノワーズではなく、ジョコンド生地やダックワーズ生地を使い、アイスクリームやジェラート、ソルベ、ジャム、ジュレ、フルーツなどを組み合わせる。見た目も一般的なカップアイスではなく、パティスリーらしい層のあるケーキに仕上げる。

 ここに、食品ロス対策商品の1つのヒントがある。

 食品ロス対策では、ともすると「本来捨てられるはずだった」、「余ったものを活用した」といった背景が商品の中心に置かれやすい。しかしスイーツは、生活必需品というより「食べたい」、「自分へのご褒美にしたい」という気持ちで購入される傾向がある。売り場で最初に求められるのは社会的意義より、味わいや見た目の魅力ではないだろうか。

「バナナ&キャラメルケーキ」イメージ
「バナナ&キャラメルケーキ」イメージ

 実際、規格外の果物を使ったスイーツでも同様の動きがある。スターバックスでは、外観などを理由に廃棄されていた「もったいないバナナ」をデザートドリンクやケーキに活用。ファミリーマートでも規格外バナナを使った冷凍チョコバナナが商品化されてきた。いずれも「規格外品を消費してください」という売り方ではなく、まず商品として成立させ、その背景に食品ロス削減という価値を持たせている。

 食品ロス対策の商品にとって厄介なのは、「余り物を利用した商品」という印象が、お得感ではなく品質への不安につながる可能性があることだ。その意味では、“余り物感”をどこまで消せるかが勝負とも言える。

「ル・フォワイエ」のアイスケーキも、保存期間を延ばすことだけが目的なら、単純に既存の生ケーキを冷凍する方法も考えられる。しかし、あえて冷凍向けに商品そのものを作り直した。「ロスを減らすためのケーキ」ではなく、「食べたいアイスケーキ」が結果としてロスも減らす。この順序こそ、食品ロス対策を一過性の取り組みで終わらせないために重要なのではないだろうか。

 環境に優しいから少し我慢して選ぶ商品ではなく、おいしそうだから選んだ商品が環境にも優しい。食品ロス対策が日常に定着するのは、おそらくその段階まで進んだときだと考えられる。

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