【考察】モロゾフなのに「モロゾフ」と言わない? 老舗菓子メーカーが新ブランドを作る理由

「キャラメリオン」の「キャラメル メルティーケーキ」2個入り・税込み1,080円コラム
「キャラメリオン」の「キャラメル メルティーケーキ」2個入り・税込み1,080円
「キャラメリオン」の「キャラメル メルティーケーキ」2個入り・税込み1,080円
「キャラメリオン」の「キャラメル メルティーケーキ」2個入り・税込み1,080円

 知名度の高い菓子メーカーが、新商品を発売する際に、あえて別のブランド名を掲げるケースがある。長年培ってきた知名度や信頼を活用した方が、販売面では有利に思える。一体なぜ、企業は新たな看板を作るのだろうか。

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 例えば神戸の洋菓子メーカー「モロゾフ」は11月18日、阪神梅田本店にキャラメルスイーツ専門ブランド「キャラメリオン」をオープンする。キャラメルサンドやケーキ、プリンなどを展開し、新たな大阪の定番ギフトを目指す。

「堂島ミルク」の「雪どけフロマージュ」1個・税込み1,188円
「堂島ミルク」の「雪どけフロマージュ」1個・税込み1,188円

 一方、「堂島ロール」で知られるモンシェールは10月21日、あべのハルカス近鉄本店に「堂島ミルク」をオープンした。北海道の自社牧場で生産された生乳を原料とするクリームを主役に、クレープやチーズケーキ、ソフトクリームなどを販売している。

 両社に共通するのは、既存商品の延長ではなく、特定の素材や味わいを中心に据えた専門ブランドを立ち上げていることだ。

 その理由の1つとして考えられるのが、消費者に伝える情報の明確化である。「モロゾフ」と聞けば、プリンやチーズケーキ、チョコレートなどを思い浮かべる人も多いだろう。長い歴史で築き上げた幅広い商品イメージは強みだが、新たな商品の特徴を際立たせるには工夫が必要になる。

「キャラメリオン」の「キャラメル エスプレッソプリン」2個入り・税込み1,080円
「キャラメリオン」の「キャラメル エスプレッソプリン」2個入り・税込み1,080円

 そこで「キャラメリオン」という別の看板を設ければ、キャラメル専門店としての個性を打ち出しやすくなる。商品だけでなく、店舗デザインや包装、世界観まで統一できる点も大きい。

 実際、「モロゾフ」は2025年10月に公表した中期経営計画で、基本ブランドとは異なる複数のブランドを展開し、全体の市場シェア拡大を目指す方針を示している。新たな顧客層の獲得も目的の1つだ。

 つまり、新ブランドの立ち上げは単なる新商品開発ではない。これまで接点の少なかった消費者を取り込むための成長戦略でもある。

「堂島ミルク」の「幸せミルク包み」プレーン・税込み378円、チョコアーモンド・税込み432円、いちご・税込み432円、マロン・税込み486円
「堂島ミルク」の「幸せミルク包み」プレーン・税込み378円、チョコアーモンド・税込み432円、いちご・税込み432円、マロン・税込み486円

 また、既存ブランドの印象に縛られず、価格帯や販売方法を柔軟に設定できる利点も考えられる。「堂島ミルク」が注文後に仕上げるクレープやソフトクリームを展開しているのも、その一例として興味深い。ロールケーキで培ったクリームの魅力を、異なる購入場面へと広げている。

 もっとも、新ブランドには弱点もある。知名度を一から高める必要があり、店舗運営や宣伝にも費用がかかる。親ブランドの商品との違いが曖昧なら、消費者に選ぶ理由が伝わらない可能性もある。

 重要なのは、既存ブランドの価値を捨てることではない。むしろ、その技術や信用を土台にしながら、新しい商品価値を育てることだ。

 長年愛されてきた名前は、企業にとって大きな財産である。しかし、その名前だけでは届けられない魅力もある。老舗企業が新たな看板を掲げる背景には、守り続けてきた強みを、次の成長につなげようとする狙いも感じられる。

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