東京都世田谷区にある洋菓子店「白髭のシュークリーム工房」は、つぶらな瞳でじっと見つめてくれるシュークリームが人気の店。焼き立てシュークリームの香りとかわいらしいスイーツに囲まれる幸せ空間だ。今回は、そんな同店の看板商品であるシュークリームをはじめ、各商品のこだわりなどをうかがった。
【関連写真】「白髭のシュークリーム工房」他イメージ15枚はこちら同店は現在、代田店と吉祥寺店の2店舗をかまえており、歴代の代表は”白髭”と呼ばれている。現在は2代目白髭に引き継がれてお店を守り続けている。
世界中で愛されるアニメーション映画の人気キャラクターをかたどった名物シュークリームの生みの親である‟初代白髭”は、2008年に奥さんとともに小規模の店舗で創業。
もともとは杉並区浜田山で小さな店舗を営んでいたが、手狭になってきたため移転を決意。2013年のオープン当時、別経営のカフェが店舗建物全体を使用していた。縁があり、パン屋をしていた1階部分を譲ってもらい、同店の移転が決定。同じ建物を使っているよしみで、2階のカフェにも商品を卸すなど協力体制を組んでいる。
さらに2018年、2店舗目となる吉祥寺店をオープンした。
現在使用している店の看板は初代白髭が、「トトロのクッキーボックス」の内側にあるミニマンガは2代目白髭が描いたもの。さらにホームページや商品の箱などに紛れている白髭のキャラクターは、初代白髭をイメージして作られたという。遊び心にあふれ、絵を描くことに優れている2人の白髭によって、ワクワクする気持ちと癒される空間、こだわりの商品が守られている。
今回訪れた本店である代田店は、京王井の頭線と小田急線より下北沢駅から徒歩7分、小田急線世田谷代田駅から徒歩2分とアクセスも良好だ。小田急線の各駅停車は10分に1本頻度のため、乗り継ぎ次第では下北沢駅から歩くのもおすすめだ。車利用者は、近隣のコインパーキングの利用が多い(ホームページ上で周辺コインパーキング情報掲載)。
混みやすい時間帯はオープン直後の10時30分と、14時から15時頃。年齢層や男女比に偏りはなく、国内をはじめ、海外からも多くのファンが訪れる。1人でフラッと立ち寄るおじいさんから子連れの家族まで、幅広い人に愛されている店だ。
代田店と吉祥寺店の両店舗の商品ラインアップはほぼ同じ(吉祥寺店限定「猫バスサンド」および季節限定商品などを除く)。
同店の看板商品は「シュークリーム」。できる限り国産の原材料を使うことにこだわり、牛乳や小麦粉、バターは必ず北海道産を使っているという。
1度に焼き上げられる個数は約2時間で100個程度。多い日は800個から1000個ほど売れるため、営業中は全て手作業でひたすら焼き上げてはクリームを絞り、顔のパーツをトッピングする。
シュー生地の中のフレーバーは全9種類。常に4種類を販売しており、「チョコレート」と「カスタード&生クリーム」は通年、他の2種類は3ヵ月に1度の頻度で入れ替わっている。かわいらしい見た目でフレーバーも豊富なため、各フレーバ―ごとに多くのファンがいる。
秋から春先は繁忙期にあたり、昼過ぎには完売することがしばしば。夏場は毎年気温も上がっていることもあり、土日は15時から16時で完売。他の季節と比べると入手しやすいが、15時以降に尋ねる場合は、電話予約をすると安心である。電話予約は夏なら当日のお昼ごろ、冬なら前日までに連絡をすると確実だ。
一番人気は、定番の「カスタード&生クリーム」。卵の風味を感じられる優しい味わいが特徴。固すぎないが包丁で綺麗に切れるしっかりとしたシュー生地と、ミルク感はしっかりありながら、油っぽさが少なくあっさりしているクリーム。さらに、できるだけフレッシュな状態でお客さんに届けたい想いから、朝に焼き上げたシューを保管するのではなく、1日中ひたすら繰り返し焼き続けるそう。柔らかい口当たりで、1人で何個も食べてしまいそうになる。実際に「全部1個ずつで」との注文も多いという。
販売方法は、テイクアウトのみで箱と紙皿の2種類。いずれのシュークリームも1個ずつ販売している。賞味期限は当日限りなので、紙皿を選んで近隣のちょっとしたベンチなどすぐに食べるのもおすすめ。焼き立てのシュークリームの香りが広がる店内にいると、自宅用のつもりがつい「すぐに食べます」と言ってしまいそうになる。他にも、別経営の2階カフェとも提携しているため、カフェ利用としてシュークリームの注文ができる。
おすすめの食べ方は、もったいないと言わずにお尻からガブッと。かわいらしい顔も最後まで残りながら、クリームがこぼれにくく綺麗に食べられる。シュー生地の構造で耳の部分に穴が開いていないため、蓋の役割をしつつ最後までクリームと一緒に味わえる。
ケーキは2種類を常時販売。ワンカットは対応しておらず、完全予約制のホールケーキのみだ。季節のイベント仕様もあり、ホームページから過去に販売したものを見られる。
「苺のショートケーキ」は通年で、もう1つは「フルーツタルト」や「マロンタルト」などが登場する。中でも「マロンタルト」は人気で、秋から冬を目安に販売する。
取材に応じてくれたシェフは「ケーキにはお誕生日プレートを付けるので、それはかわいい字で書くようにしている。シュークリームが乗っていればいいじゃんっていうものは作らないように、ケーキ自体もおいしいと言ってもらえるものに仕上げている。生クリームも重すぎず、軽すぎないなど厳選しています」と話す。
今回は通年販売している「苺のショートケーキ」を実食したが、シェフの言う通り、生クリームとイチゴの相性が抜群だ。しっかりミルクの味わいがありつつ重くない生クリームと、酸味が特徴的なイチゴで信じられないほどパクパクと食べられる。普段1カットで胃のもたつきを感じる人が目を丸くしながら完食し、「もう1個食べたい、まだいける」と進んで2カット目を取り分けている自分がいた。原材料のこだわりなども活きているのか、スイーツの食べ過ぎによる胸やけや胃もたれがほとんど起きない。
クッキーは「トトロのクッキー」と「森のおみやげ」シリーズを通年販売。「トトロのクッキー」は4枚セットからのボックス販売のみ。大小のクッキーを組み合わせたボックスは、イラストも含めてかわいらしく、ギフトや手土産で購入する人も多いという。
2017年の春季に登場して以来人気の「トトロのクッキーボックス」は、プレーンやラズベリーをはじめ、シナモンやきな粉などクッキーでは珍しい味がある。どれも軽くてサクサク食感、素材本来の風味を味わえる。
全6種の「森のおみやげ」シリーズは‟森でトトロに出会ったら何をくれるかな”をテーマに、どんぐりやきのこなどをバラ売り、あるいは小さなボックスで販売している。生菓子でないもののフレッシュな素材を使用しているため賞味期限は1ヵ月。スーパーなどで販売する市販クッキーの約6分の1の短さなので注意が必要だ。
他にも、代田店にて夏季限定ゼリー「桃の上のポニョ」などが毎年数量限定で登場する他、新作スイーツも随時お披露目されている。
国内外や年齢、性別などの壁を越えて愛される「白髭のシュークリーム工房」。温かく優しい味わいとかわいらしい見た目のスイーツ、焼き立ての香りと癒される空間を持つ同店は、何度も通いたくなる場所である。
【白髭のシュークリーム工房 代田店】
住所:東京都世田谷区代田5-3-1
電話:03-5787-6221(代田店)
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)
支払い方法:現金・ペイペイ(吉祥寺店は現金のみ)
営業時間:10時30分~18時
【取材・撮影・文:ゆめ】
【関連記事】
シャングリ・ラ東京:国産素材のベルベッティチーズケーキ、通年販売を7月16日より開始
お取り寄せ:「白髭のシュークリーム工房」8月12日にオンラインストア開設 人気シュークリームは早くも10月発送分まで完売済み
北海道・上士幌:「ピーコックス」80歳のおばあちゃんが手作りケーキを1個200円台で販売 こだわりは「純粋な素材だけ使うこと」