
麻布台ヒルズ・森JPタワーの33階にある「ダイニング サーティースリー パティスリー ア ラ メゾン(Dining 33 Pâtisserie à la maison)」は、日本の仏料理界を牽引し続ける巨匠、三國清三(みくに・きよみ)さんがプロデュースするグランビストロ「ダイニング サーティースリー(Dining 33)」に併設されている。今回は、同パティスリーの定番人気の3品を実食した。
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三國さんは、素材を生かした仏料理で高い評価を集めるシェフ。「ジラルデ」のフレディ・ジラルデさんやトロワグロ兄弟、そしてアラン・シャペルさんなど数々の名料理人たちに師事し、日本人料理人として初めて仏レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章。国際的に活躍して「世界のミクニ」と称されている。
今回紹介するパティスリーで腕を振るっている浅井拓也さんは、三國さんがオーナーシェフとして37年間務めた四ツ谷の名店「オテル・ドゥ・ミクニ」で長年活躍していたシェフパティシエだ。

麻布台ヒルズのレストランとして最上階の33階にある同店は、東京のベイエリアを一望できる抜群の眺望が魅力的。右の方には東京タワーを見つけることができる。なお、事前予約はできないが、東京タワーを目の前に臨める2名専用の特別な席も用意されている。

店頭には、浅井さんが腕をふるったケーキが並んでいる。ショーケースに並んだケーキから選ぶケーキセットは、ドリンク付きで税込み2,200円(サービス料別途12パーセント)。生菓子の他、お土産にぴったりな焼き菓子も販売されている。

生菓子は全10種類展開。そのうち、毎月新作が1品入れ替わりで登場する。今回は、常時展開されている「サントノーレ」、「オペラ」、「ミルフイユ」を選んだ。

コースのデザートも担当している同店は、他のケーキ屋さんよりも後味が軽いのが大きな特徴。一般には、コース料理のデザートは、来店客が食べ切れるように、小さなサイズで作ることが多い。見映えのよい大きなデザートをドンと提供したいという想いがあったという浅井さんは、大きなサイズでも軽い後味になるように工夫を凝らしてケーキを考案しているのだそう。
「サントノーレ」は浅井さんが「ここのお店のおすすめは?と聞かれたらサントノーレと答える」という自信作。繊細に焼かれた黄金色のパイ生地の中に、クレームシブーストとシャンティバニーユを忍ばせている一品だ。

クレームシブーストは、メレンゲとカスタードクリームを合わせていて軽い食感に仕上がっている。口へ入れると、舌でシュワッととろけるような軽い食感に驚いた。
クレームシャンティは、ニューカレドニア産のバニラをローストしたものが入っていて、よく見ると細かなバニラビーンズの粒々を確認できる。焦がし発酵バターをつかったシュー生地は、パリパリ食感の香ばしい焦がしキャラメルがアクセントになっている。

「コーヒーのケーキだからコーヒー豆にしてみては?」というスタッフの一声から生まれた「オペラ」。収穫したコーヒーの実から豆を取り出し、果実の部分を乾燥させた「カスカラパウダー」がふりかけられている。外側はチョコレートでコーティングされ、中には、コーヒーシロップをたっぷり染み込ませたアーモンド生地とチョコレートガナッシュが入っている。

フォークを入れると、芳醇なコーヒーシロップがジュワッとあふれてくる。バタークリームは、たっぷりのメレンゲと泡立てたバターを合わせているので、こちらも軽い後味に。どっしりとした見た目に反して繊細な味わいが意外で、みずみずしさを感じられる一品だった。

「ミルフイユ」は、パイ生地の製法からこだわり抜いて作られた一品。パイ生地そのものは空気を含んでいるように見えるがフォークでカットしても、パイ生地がバラバラに崩れないのが特徴。これは、パイ生地をバター生地を包んで折り込むクラシックなノルマルという製法で作っているからだという。
中に入れたバターにも焦がしバターが使われ、豊かな風味を表現している。そのパイ生地に、木イチゴの果肉とピスタチオクリームをサンド。木イチゴは、酸味が際立ちすぎることがなく、ピスタチオの香りやパイ生地の塩気がきいていて、全体のバランスが取れていると感じた。

浅井さんいわく、ショーケースに並ぶ10種類のケーキは「増やすことはない」という。その理由について「手間を惜しまずに限られた時間の中でクオリティの高いケーキを作るとしたら10種類。毎月新しい新作を1つ考案していますが、10種類ものケーキをすべて召し上がるお客様は多くはないので、質が高くこだわり抜いた10種類の中から好きなケーキを楽しんでもらいたいです」と語る。
【ダイニング サーティースリー パティスリー ア ラ メゾン】
住所:東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー33階
時間:
イートイン13時30分~16時
テイクアウト11時~21時
電話:03-4232-5801
※なお、いずれも2025年9月現在の内容。価格やラインアップなどは変更される場合あり。
【取材・撮影・文:桐生奈奈子】




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