
正月の食卓といえば、おせち料理やお雑煮が定番だ。しかし、そんな日本の伝統的な食文化に、洋菓子が存在感を示し始めている。ケーキを重箱に詰め合わせた「スイーツおせち」だ。
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例えばANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋は、2027年の正月に向けて「スイーツ重〜一慶(IKKEI)〜」を販売する。全12種類の洋菓子を一段の重箱に詰め込んだ商品で、価格は税込み11,000円(60個限定)。
ラインアップには「苺のショートケーキ」や「ベイクドチーズケーキ」の他、「和栗と和三盆のモンブラン」「柚子抹茶」なども並ぶ。定番の洋菓子に加え、和の素材を取り入れた品々も用意されている。
他にも、小樽洋菓子舗ルタオはお取り寄せで「ルタオスイーツおせち2027」を、イオンは「トップバリュ すいーつおせち」などを展開する。
注目したいのは、単にケーキを詰め合わせたのではなく、正月の食卓にふさわしい「おせち」という形式を採用している点だ。
そもそも、おせち料理は重箱にさまざまな料理を盛り付け、家族で分け合って楽しむ文化がある。スイーツおせちも同様に、1つの箱から好みの品を選ぶ楽しさを提供できる。洋菓子でありながら、食べ方には日本の正月らしさが残っている。

また、正月に甘いものを食べること自体は新しい習慣ではない。栗きんとんや黒豆など、従来のおせち料理にも甘味は存在してきた。スイーツおせちは、その延長線上にある商品とも考えられる。
さらに、正月は家族や親戚が集まる機会でもある。世代によって好みが異なるなか、複数の洋菓子から選べる商品は、食後のデザートとして重宝される可能性がある。特定の味に絞ったホールケーキとは異なる魅力だ。
一方、定着に向けては課題もある。おせち料理そのものが高額になりやすいなか、追加で1万円前後のスイーツを購入する家庭がどれほどあるのか。冷蔵保存が必要な点も、年末年始の食卓事情を考えると無視できない。

ただし、スイーツおせちが従来の料理に取って代わる必要はない。和食のおせちに加え、洋菓子の重箱を並べる。あるいは、元日の食後に家族で少しずつ楽しむ。そんな形であれば、正月の習慣を大きく変えることなく、新しい選択肢として受け入れられる余地がある。
クリスマスにホールケーキを囲み、その約1週間後には正月のスイーツおせちを開く。洋菓子業界にとっては、クリスマスで終わりがちだった年末の需要を、新年へとつなぐ機会にもなり得る。
もちろん、限定販売の商品だけで市場全体の定着を判断することはできない。それでも、洋菓子が正月の食卓に入り込もうとする動きは興味深い。
おせち料理の伝統を守りながら、楽しみ方を広げる。スイーツおせちが目指すのは、和食から洋食への置き換えではなく、正月の食卓そのものを豊かにすることなのかもしれない。
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