
全国に約250店舗を展開するティーカフェ「ゴンチャ」が、初のエリア限定商品を投入する。10月29日より北海道内の5店舗で発売する「北海道 ミルクプリン ミルクティー」だ。全国規模まで成長したブランドが、なぜ今になって地域限定商品を打ち出すのか。そこには、チェーン店の成長戦略の変化が見えてくる。
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そもそも、チェーン店の強みは全国どこでも同じ商品を楽しめることにある。メニューを統一すれば、原材料の調達や製造工程を効率化できる。消費者にとっても、知っている味を安心して注文できるメリットがある。
しかし、店舗数が増えるほど、その強みは別の課題を生み出す。全国で同じ商品を販売している以上、わざわざ特定の店舗を訪れる理由が生まれにくい。ブランドの認知度が高まった後は、新しい来店動機をどう作るかが重要になる。
そこで注目されるのが、地域限定という手法だ。
代表的な事例がスターバックスだ。同社は日本上陸25周年を迎えた2021年、47都道府県それぞれの特色を生かした「47JIMOTO フラペチーノ」を発売した。地元の従業員が考案に参加し、北海道ではトウモロコシ、青森県ではリンゴなど、地域にちなんだ素材や食文化を取り入れた。
全国チェーンでありながら、その土地でしか購入できない商品を用意する。これは、全国展開による安心感と地域限定の特別感を両立させる取り組みだった。

今回のゴンチャにも共通点がある。ただし、興味深いのは開発体制だ。同商品は、北海道伊達市を拠点とする乳製品メーカー「牧家」と共同開発したもの。牧家はゴンチャの北海道内5店舗の運営も担っている。つまり、地元の食材を活用するだけでなく、地域の店舗運営を知る企業が商品開発にも関わっている。
全国共通の商品を地域に届けるだけでなく、地域の強みをブランドの商品に取り込む。従来とは逆方向の動きともいえる。
もちろん、限定商品には課題もある。販売地域が狭ければ大量生産による効率化は難しくなる。原材料の調達や店舗での作業も複雑になりかねない。一方で、少数店舗であれば消費者の反応を確かめやすく、成功した取り組みを別の地域へ展開する可能性も生まれる。
また、地域限定は地元客だけに向けた施策ではない。旅行者にとっても、その土地でしか味わえない商品は魅力になる。全国どこにでもある店舗が、旅先では立ち寄る価値のある場所に変わるかもしれない。
チェーン店の全国展開とローカル化は、一見すると矛盾する。しかし、全国共通の商品でブランドを育て、その知名度を生かして地域ごとの個性を打ち出すことは、むしろ自然な成長の形ではないか。今後、全国チェーンの競争は店舗数や商品数だけでなく、「その地域でしか体験できない価値」をどれだけ作れるかにも広がっていくだろう。
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