【考察】写真集を売るのにケーキまで作る エンタメ商品が「食べられる体験」を欲しがる理由

『ぺろり』コラボレーションメニューのイメージ芸能
『ぺろり』コラボレーションメニューのイメージ
『ぺろり』コラボレーションメニューのイメージ
『ぺろり』コラボレーションメニューのイメージ

 神奈川県横浜市の「ハードロックカフェ 横浜」は10月26日より、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の佐々木彩夏さんの初写真集『ぺろり』の発売を記念したコラボレーション企画を展開する。写真集を発売するために、なぜチーズケーキまで作るのか。一見すると、書籍とスイーツには直接的な関係がない。しかし、今回のコラボレーションを見ていくと、エンターテインメント商品の販売促進において、スイーツが果たす役割が見えてくる。

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 注目したいのは、写真集のテーマである「食べる楽しさ」「かわいらしさ」「色鮮やかさ」を、チーズケーキという別の商品へ落とし込んでいる点だ。

『ぺろり』キービジュアル
『ぺろり』キービジュアル

 限定スイーツ「“ぺろり”ストロベリーラブ」は、佐々木さんのイメージカラーであるピンク色を基調とし、イチゴやピンクチョコレートフレークなどを使用。見た目からも写真集の世界観を感じられる構成となっている。

 通常、写真集の魅力は写真そのものにある。ページをめくり、作品を鑑賞する。それだけでも十分に商品として成立するはずだ。ところが、今回の企画では、そこに「食べる」という体験を追加した。写真集のイメージを視覚だけでなく、味覚でも楽しめるようにしている。

 これは単なる販売促進用のコラボメニューではない。書籍という、本来は食べられない商品に、新しい楽しみ方を付け加える試みともいえる。しかも、今回の舞台となる「ハードロックカフェ 横浜」は、実際に写真集の撮影場所として使用された店舗だ。期間中には佐々木さんが撮影時に座った席も特別な予約席として提供される。

 ファンにとっては、写真集に登場する場所を訪れ、作品をイメージしたケーキを食べることで、写真の向こう側にあった空間を追体験できる。ここに、コラボスイーツならではの強みがある。

 例えば、写真集を購入するだけなら書店やインターネット通販で完結する。一方、限定ケーキを食べるためには実際に店舗へ足を運ばなければならない。そこで写真を撮影し、SNSに投稿すれば、ファン自身が作品の情報を広げるきっかけにもなる。つまり、スイーツは販売促進のための商品であると同時に、ファンを外へ動かすきっかけにもなり得るのだ。

 もう1つ見逃せないのが、スイーツの持つ「参加しやすさ」である。

 写真集の発売記念イベントは、参加人数や開催日程が限られる場合がある。しかし、飲食店とのコラボレーションであれば、一定の開催期間を設け、ファンが都合に合わせて楽しめる。写真集を購入した人はもちろん、店舗を訪れた一般客が作品を知る機会にもつながるだろう。

「“ぺろり”ストロベリーラブ」税込み1,680円
「“ぺろり”ストロベリーラブ」税込み1,680円

 もっとも、コラボレーションスイーツを展開すれば、必ず写真集の売り上げが増えるわけではない。メニュー自体の魅力が弱ければ、単なる話題作りで終わる可能性もある。だからこそ重要なのは、作品の世界観とスイーツの間に、納得できるつながりがあることだ。

 今回の写真集『ぺろり』は、そのタイトルからして食との親和性が高い。さらに、実際の撮影場所で味わえるという要素までそろっている。コラボレーションとしての自然さは、十分に感じられる。

 かつて、書籍の発売を記念する企画といえば、サイン会や特典付き販売などが代表的だった。現在は、そこに「食べる」「訪れる」「撮影する」といった体験を組み合わせる選択肢もある。写真集は、ページをめくって楽しむもの。しかし、その世界観までページの中に閉じ込めておく必要はない。

 本を売るためにケーキを作る。その背景には、商品そのものだけでなく、作品を楽しむ時間や思い出まで届けようとする発想がある。エンターテインメントとスイーツの関係は、今後ますます深まっていくのかもしれない。

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