【考察】日持ちするのが長所だったのに 焼き菓子ブランドが“生菓子化”する理由

「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージコラム
「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ
「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ
「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ

 焼き菓子の大きな強みは、日持ちの良さと持ち運びやすさにある。常温で保存でき、手土産や贈答品にも選びやすい。ところが、その利点をあえて手放し、生菓子の領域へ進出するブランドがある。バターシリアルスイーツ専門店「シュガーバターの木」だ。

【実食レポ】スタバの秋デザート「手しぼり栗のモンブラン」こぼれそうな栗ペーストが嬉しい 秋のおやつにぴったり

 同ブランドは10月19日〜10月31日、阪急うめだ本店にて「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」を期間限定で販売する。ブランド史上初となる生仕立ての商品で、価格は5個入り・税込み2,160円。発酵バターと北海道産生乳100%の生クリームを使用した厚みのあるバタークリームを、香ばしい生地で挟んでいる。従来の焼き菓子とは異なり、要冷蔵の商品だ。

 ここで疑問が生じる。一体なぜ、焼き菓子ブランドがわざわざ保存や流通の制約が大きい生菓子に挑戦するのか?

 考えられる理由の1つは、ブランドの価値を広げるためだ。焼き菓子は贈答需要との相性が良い一方、日常的に購入できる商品ほど、消費者にとって特別感が薄れやすい側面もある。そこで生菓子を投入すれば、従来とは異なる購入動機を生み出せる。

 例えば、いつもの「シュガーバターサンドの木」は職場や友人への手土産として選び、生バターサンドは自分へのご褒美として購入する。同じブランドでありながら、利用する場面を変えられるのだ。

 もう1つは、味わいや食感の表現を広げられることだ。焼き菓子では保存性や品質の安定性を考慮する必要があるが、要冷蔵の商品なら、生クリームを使用したなめらかな口溶けや、クリームそのものの存在感を前面に打ち出せる。焼き菓子で培った香ばしさと、生菓子ならではのクリームの豊かさを組み合わせれば、新しい商品価値を生み出せる可能性がある。

「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ
「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ

 さらに注目したいのが、販売方法だ。今回の商品は約2週間の期間限定販売で、各日13時から販売を開始し、なくなり次第終了となる。常温で広く流通させる定番商品とは異なり、購入できる場所と時間を絞っている。

 これは単なる販売上の制約ではなく、希少性を生み出す仕組みとしても機能する。「いつでも買える焼き菓子」と「今しか買えない生菓子」。両者を並行して展開することで、ブランドの魅力を異なる方向から訴求できる。

 もちろん、生菓子への進出には課題もある。冷蔵設備や温度管理が必要となり、販売場所も限定されやすい。生菓子が必ずしも焼き菓子より高い利益を生むわけではなく、商品の製造・流通コストとのバランスも問われる。

 それでも、この挑戦には意味がある。重要なのは焼き菓子を生菓子に置き換えることではなく、既存商品の強みを維持しながら、新たな需要を獲得することだからだ。

「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ
「パティスリーシュガーバターの木 生バターサンド」イメージ

 焼き菓子ブランドが生菓子を手がけるのは、必ずしも従来の長所を捨てる行為ではない。むしろ、長年築いてきた知名度や信頼を活用し、これまで届けられなかった食体験へと事業を広げる試みである。

 日持ちするから選ばれる商品から、日持ちしなくても食べたい商品へ。今回の生バターサンドは、焼き菓子ブランドの成長戦略を考える上でも興味深い一品と言えそうだ。

【関連記事】
【実食レポ】外ふわっ、中しっとり ローソン「生ベイクドチーズケーキ」は小ぶりながら濃厚な味わいの本格派スイーツ

パティスリーピネード:子どもの夢叶える直径約30cmの大型ショートケーキが今年も登場 10月13日より予約受付開始

ファミマ:なぜ今、クリームを変えるのか? 8年ぶり刷新「無限クリーム」開発の背景に迫る

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました