
SNSで話題になっているスイーツを食べてみたい。しかし、専門店に足を運ぶのは少し気恥ずかしい。そんな消費者が一定数いるのかもしれない。スイーツの購入をためらう理由は、価格や味の好みだけではない。実は「どこで買うか」も重要な要素になっている可能性がある。
【レポート】全国スーパーマーケット おいしいもの総選挙2026:スイーツ部門の最高金賞は「雪ふわ生ドーナツ」
その興味深い事例が、スーパーマーケットのエコスおよびTAIRAYAが展開する「雪ふわ生ドーナツ」だ。11月5日に発表された「全国スーパーマーケット おいしいもの総選挙2026」で、スイーツ部門の最高金賞に輝いた。
同商品は、生クリームを練り込んだ口溶けの良い生地に、甘さ控えめのホイップクリームとバニラビーンズ入りのカスタードクリームをそれぞれ合わせた2個セット。価格は税込み431円。
注目したいのは、その開発コンセプトである。裏ターゲットとして設定されたのは、「SNSで流行の生ドーナツを食べてみたいけど、ちょっと気恥ずかしいな……と思っている中高年男性」。誰でも気兼ねなく手に取れる商品を目指したという。

生ドーナツは、近年のスイーツ市場を象徴する存在の1つだ。専門店が登場し、SNSにはクリームをたっぷり詰め込んだ商品の写真が数多く投稿されてきた。一方で、話題の商品に興味はあっても、流行の店に並ぶことに抵抗を感じる人もいるだろう。
もちろん、中高年男性が一様に専門店を苦手としているわけではない。ただ、年齢や性別を問わず、店のオシャレな雰囲気や客層を意識して購入をためらうケースは考えられる。

そこで強みを発揮するのが、日常的に利用するスーパーという売り場だ。夕食の食材や日用品を買うついでに、気になっていた生ドーナツを購入できる。専門店を訪れるために予定を組んだり、行列に並んだりする必要もない。
つまり、流行のスイーツを特別な買い物から普段の買い物へと変えているのだ。商品そのものの魅力だけでなく、購入する際の心理的な負担を減らすことにも価値がある。
もっとも、今回の受賞だけで、中高年男性の隠れた需要が実際にどれほど存在するかまでは判断できない。それでも、開発段階から購入時の気恥ずかしさに着目した点は興味深い。
近年、スーパーでは専門店を意識したスイーツが充実している。こうした商品が支持を広げる背景には、品質や価格に加え、流行の味を身近な場所で楽しめる利便性もあるのではないだろうか。
スイーツ市場には、商品に興味がない人だけでなく、興味があっても購入に踏み切れない人がいる。新たな需要を生み出すために必要なのは、必ずしも斬新な商品を開発することだけではない。すでに存在する人気商品を、誰もが自然に手に取れる場所へ届けることも、有効な戦略になりそうだ。
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