
ケーキの定番と言えば、イチゴのショートケーキが頭に浮かぶ。しかし、近年はミルクレープにも高級路線の商品が登場している。愛知県名古屋市の洋菓子店「バタリー(Buttery)」は、2026年のクリスマス向けに「クリスマスミルクレープ」を税込み13,500円で展開。同店では「バタリークリスマスショートケーキ」も販売するが、5号サイズの価格は税込み5,800円だ。商品仕様が異なるため単純比較はできないものの、ミルクレープの価格設定は印象的だ。
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そもそも、ミルクレープはなぜ高級化しやすいのだろうか?
第1に考えられるのが、製造工程の特徴だ。ショートケーキは一般的に、大きく焼いたスポンジ生地を切り分け、クリームや果物を重ねて作る。一方、ミルクレープは薄いクレープ生地を何枚も焼き、それぞれの間にクリームを塗り重ねる。生地の厚みや焼き加減を揃える必要があり、組み立てにも丁寧な作業が求められる。

もちろん、ショートケーキにも高度な技術が必要であり、ミルクレープのほうが必ず製造コストが高いわけではない。ただ、ミルクレープの場合、何層にも重なる断面そのものが、手間を視覚的に伝える役割を果たしている。
第2に、素材へのこだわりを付加価値に変えやすい点がある。
バタリーの「クリスマスミルクレープ」は、仏産のAOP発酵バターを使用したクレープ生地に、生クリームとイチゴを重ねた商品だ。AOPは、産地や製法などに関する基準を満たした製品に与えられるフランスの原産地呼称保護制度。発酵バターの香りやコクが、生地を主役にした商品の個性につながる。
一般的なスポンジケーキでは生クリームや果物に注目が集まりやすいが、ミルクレープではクレープ生地自体も味わいの重要な要素となる。バターや小麦粉などの素材選びを、商品の特徴として打ち出しやすい構造といえる。
第3に、断面の美しさがある。薄い生地とクリームが規則正しく積み重なった姿は、一目で商品の特長が伝わる。特に高級品では、見た目の均一さや層の美しさが、丁寧に作られた印象を強める。
もっとも、何層も重ねれば高く売れるという単純な話ではない。高価格を成立させるには、素材の品質、食感の完成度、ブランドへの信頼なども必要だ。
ミルクレープの興味深さは、製造の手間を商品の見た目や食感に反映させやすいことにある。高級化の余地を生み出しているのは、単なる層の数ではなく、その一層一層に消費者がどれだけ価値を感じられるか、という点なのだろう。
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