【考察】シャトレーゼはなぜホテルにスイーツ工場を作るのか? 「いつものお菓子」を旅の目的に変える狙い

「せとれもん」イメージコラム
「せとれもん」イメージ
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 シャトレーゼのお菓子を目当てに、ホテルへ泊まる。その理由をさらに強める施設が、広島県呉市に誕生した。9月26日開業の「シャトレーゼ スイーツファクトリー せとうち」だ。「シャトレーゼ ガトーキングダム せとうち」内で、瀬戸内産レモンを使ったマドレーヌ「せとれもん」を製造。無料で工程を見学でき、10月2日からは宿泊者限定で、できたてを提供する予定だ。

【関連記事】広島県呉市:シャトレーゼのホテルに見学無料のスイーツ工場誕生 宿泊者にはできたて焼き菓子「せとれもん」提供

 同グループは、すでに札幌や長野県小海町の「ガトーキングダム」、山梨県の「シャトレーゼホテル 石和」、長野市の「シャトレーゼホテル 長野」など、各地で宿泊施設を運営している。石和ではバウムクーヘンが焼き上がる様子をガラス越しに見学でき、長野でも館内店舗の工房で焼き菓子やケーキの製造工程を見られる。お菓子づくりを滞在の楽しみに組み込む取り組みには、すでに蓄積がある。

「シャトレーゼ スイーツファクトリー せとうち」イメージ
「シャトレーゼ スイーツファクトリー せとうち」イメージ

 今回の特長は、生地の仕込みから包装・箱詰めまでを行い、各地の店舗にも商品を送り出す本格的な工場をホテルに併設したことだ。そこで製品を作る仕事そのものが、見学客にとっての楽しみになる。生産設備に観光資源としての役割も持たせ、菓子事業と宿泊事業の双方に価値を生もうとしていると考えられる。

 ホテル側にとっては、「ここを選ぶ理由」が増える。部屋や食事、周辺観光に加え、普段買っているお菓子の製造を間近で見られることは、家族旅行の目的になり得る。見学は宿泊者以外にも開放し、できたての提供は宿泊者に限定する設計も興味深い。訪問の入り口を広く設けながら、泊まる人には特別な体験を用意している。

 菓子事業への効果も期待できそうだ。店頭で商品を選ぶ時間に比べ、工場見学や宿泊では、ブランドに触れる時間が長くなる。材料が生地になり、焼き上がり、包装されるまでを知れば、身近なお菓子への見方も変わるだろう。旅先で楽しんだ記憶が、帰宅後に同じ商品を買うきっかけになる可能性もある。日常の買い物が旅行につながり、旅行が再び買い物につながる関係だ。

 瀬戸内産レモンを使う点にも意味がある。全国に店舗を持つブランドでありながら、現地の素材を通じて「その土地で味わう理由」を作れるからだ。「せとれもん」は10月2日から広島県・九州地方などの店舗で順次販売予定。ホテルでの体験と店頭の商品が、瀬戸内の魅力を伝える接点になる。

 もちろん、工場見学が宿泊予約や再購入をどれほど増やすかは、今後の実績を見なければ分からない。それでも、菓子を作り、売り、泊まる場所まで運営する同グループには、それぞれを結び付ける余地がある。今回の工場から見えるのは、身近なお菓子への親しみを「わざわざ訪れたい」という気持ちに育てる戦略ではないだろうか。

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