
スターバックスが9月30日より展開している秋季デザート「手しぼり栗のモンブラン」。商品名の通り、表面を覆うマロンペーストは1つひとつ手作業で絞られている。
【実食レポ】スタバの秋デザート「手しぼり栗のモンブラン」こぼれそうな栗ペーストが嬉しい 秋のおやつにぴったり
全国規模で商品を販売するチェーン店といえば、効率化や均一化の象徴でもある。同じ商品を多くの店舗で提供するためには、味や品質を一定に保ち、大量に供給できる仕組みが欠かせない。それなのに、なぜ最後にわざわざ「手作業」という非効率な工程を残すのだろうか。
1つ考えられるのは、すべてを手作業にするのではなく、「人の手をかけたことが消費者にも伝わりやすい部分」にだけ手間を集中させているからだ。
例えば、ケーキの内部にあるムースを手作業で仕込んだとしても、購入する側にはなかなか分からない。一方、モンブランの表面に絞られたマロンペーストは、商品を見た瞬間から目に入る。「手しぼり」という言葉と不規則に重なるペーストの姿が結びつけば、人の手で仕上げたという価値も理解しやすい。

実際、「手しぼり栗のモンブラン」は、細く絞られたマロンペーストがこぼれ落ちそうなほどたっぷりと盛られている。完全に均一な造形とは違う、わずかな揺らぎも商品の表情になっている。
ここが興味深い。チェーン店にとって重要なのは、何も「すべてを効率化すること」ではないのかもしれない。機械化や標準化によって品質と供給量を確保しながら、商品の印象を大きく左右する工程には、あえて人の手を残す。言うなれば「選択的な非効率」だ。
近年はセルフレジやモバイルオーダーなど、外食産業でも効率化が進む。一方で、食べ物には効率だけでは測れない価値もある。「誰かが仕上げた」と感じられるだけで、工業製品ではなく1つの料理や菓子として受け取られやすくなるからだ。
大量販売と手仕事は、一見すると正反対に見える。しかし、大量販売する商品だからこそ、最後のひと手間が際立つ。「手しぼり」という言葉は、全国チェーンの商品に人の気配を戻す、小さいながら重要な仕掛けなのかもしれない。
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