
ケーキは1個1,000円前後でも高級品と感じられる一方、パフェには3,000円を超える商品も珍しくない。同じスイーツでありながら、なぜこれほどの価格差が生まれるのか。その理由は、使用する食材だけでなく、提供方法や消費者が求める価値の違いにあると考えられる。
【価格逆転か】スーパーで2万4840円、ホテルでは5000円 クリスマスケーキの格はどこで決まる?

例えば、東京・芝浦の「フェアモント東京」が2026年夏に展開した「桃のショートケーキ」は税込み1,300円。一方、同じホテルの「ピーチパフェ」は税込み4,500円(サービス料含む)だった。後者は桃とシャンパンを組み合わせた大人向けの一品であり、単純に同じ食材の価格を比較することはできないものの、3倍以上の開きがある。
また、千疋屋総本店の日本橋本店フルーツパーラーでは、「千疋屋スペシャルパフェ」が税込み4,070円、「マスクメロンパフェ」が税込み4,840円。パフェは数千円を支払う特別なスイーツとして定着している。
まず、ケーキとパフェでは製造工程が異なる。ケーキは事前にまとめて製造し、ショーケースで販売できる。一方、パフェはアイスクリームやクリーム、果実、ジュレなどを注文後に盛り付ける場合が多い。アイスクリームが溶けるため作り置きが難しく、提供のたびに作業が必要になる。
さらに、グラスの中で複数の食材を重ねることで、上から下まで味や食感の変化を演出できる。ケーキにも複雑な層を持つ商品はあるが、パフェは透明なグラスを生かし、その構成を視覚的にも訴求しやすい。高さや華やかさは写真映えにもつながる。
最も大きいのが「場所」の価値だろう。高級ホテルや専門店のパフェは、店内で座って味わうことが前提となる。店員によるサービスや空間、眺望、ゆっくり過ごす時間まで含めて商品価値が形成される。持ち帰りのケーキとは、消費者が購入する体験そのものが違う。
ただし、価格が高ければ満足度も高いとは限らない。3,000円のパフェでも、果実が少なく、味の変化が乏しければ割高に感じられるだろう。反対に、1,000円のケーキでも素材と技術が優れていれば、十分な満足感を得られる。
また、パフェは高単価でも、盛り付けの人件費や席の占有時間を考えれば、必ずしも利益率が高いとは限らない。
つまり、パフェが高く売れる理由は、ケーキより高級な食材を使っているからだけではない。パフェはスイーツであると同時に、その場で完成し、その場で楽しむ体験型の商品でもある。 消費者はグラスの中身だけでなく、そこで過ごす時間にも対価を支払っていると言えそうだ。
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