
「10倍」「マシマシ」「4倍盛り」――。ラーメンや激辛食品でおなじみだった強調表現が、スイーツの世界にも広がり始めている。
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スイーツブランド「なまくり」は7月、「10倍ちょこみんと」と「ザクザクチョコミント」を発売した。「10倍ちょこみんと」は、濃厚なクリームに国産ミントペーストやハッカ油を加え、清涼感を強調した商品だ。
さらに「ザクザクチョコミント」は、「もっとミント感をマシマシにしてほしい」という声を受けて開発。カカオニブやパールショコラを加え、刺激だけでなく食感の強さも打ち出している。
こうした表現がスイーツでも有効な理由は、商品の特徴を一瞬で伝えられる点にある。「ミント感を強くしました」と説明するより、「10倍」「マシマシ」と名付けた方が、通常商品との違いを直感的に理解しやすい。店頭やSNSでは、短い言葉で個性を伝えられる商品ほど目に留まりやすい。

2月に展開されたロッテの「生 チョコパイ<4倍盛り>」も、ボリューム感と背徳感を前面に押し出した商品だ。こうした極端な名称は、正確な量の比較だけでなく、「大きい」「濃い」「満足感が高い」といった印象を象徴する役割を果たしている。
背景には、スイーツ市場における嗜好の細分化もある。以前は、刺激や甘さを強くしすぎると幅広い層に受け入れられにくいと考えられてきた。しかし現在は、万人受けよりも、特定のファンに深く刺さる商品の価値が高まっている。

8月末まで展開されているビッグソフトクッキー専門店「ギルティーズ」の「チョコミントクッキー」も、「もっとスースー感が欲しい」という声から誕生した。大判サイズと強いミント感を組み合わせ、季節性と話題性を両立させている。
極端な商品は、食べる前から体験が始まっている。「本当に10倍なのか」、「どれほど刺激が強いのか」、「1人で食べ切れるのか」といった疑問が、購入やSNS投稿の動機になるためだ。
ただし、名前だけが強くても支持は続かない。味や量、食感が期待に届かなければ、消費者には肩透かしと受け取られる。重要なのは、何をどの方向に強くするかを明確にすることだ。
スイーツの“マシマシ文化”とは、単なる大盛りではない。商品の特長を一点突破で分かりやすくし、消費者が語りたくなる体験へ変える手法である。「ほどよい」だけでは埋もれやすい時代に、振り切った商品名と味わいは、購買意欲を刺激する有効な武器になっている。
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