
色とりどりのスイーツを囲み、家族や友人との会話を楽しむ。アフタヌーンティーには長らく、複数人で利用するイメージがあった。しかし、その前提は崩れ始めている。現在、高価格帯のアフタヌーンティー市場で存在感を強めているのが、あえて1人で楽しむ「おひとりさま」である。
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「OZmall」の調査によると、1名利用の予約数は2019年から2025年までの6年間で10.4倍に拡大した。アフタヌーンティーの平均単価も約1.5倍となり、6000円以上のプランが予約に占める割合は5倍以上に増えた。1人客は、安く手早く食事を済ませる層ではなく、自分のための体験にお金を使う重要な顧客になりつつある。

ケーキニュースが掲載する日々の記事からも、その変化はうかがえる。ホテル日航大阪は、税込み8000円の「苺アフタヌーンティーセット」を1名から利用可能として展開。メルキュール横須賀も、税込み5500円の抹茶アフタヌーンティーを1人から予約できるようにした。ホテルニューオータニ博多の税込み6000円の中華アフタヌーンティーも、1名から受け付けている。いずれも決して低価格ではなく、ホテル側が1人客を高価格帯商品の正式な対象としていることが分かる。
高額になるほど、誰かを誘うハードルは上がる。相手の予算、好み、日程を確認しているうちに、予約枠が埋まることもある。1人なら、自分が食べたいと思った瞬間に決められる。アフタヌーンティーの高価格化が、皮肉にも「グループ向け商品」から「個人で買うぜいたく」への転換を後押ししているのではないか。

さらに、1人1台のティースタンドを用意するホテルも増えている。ウェスティンホテル大阪や横浜ベイホテル東急では、スイーツを各自のスタンドに盛り付けて提供している。これは取り分けの必要がなく、1人利用にも自然に対応しやすい形式である。
ただし、「1名から予約可能」と記載するだけでは十分ではない。広いテーブルの中央に1人で座らされれば、居心地の悪さを覚える客もいる。窓側席やカウンター席、1人用のスタンドを用意し、予約画面や写真でも歓迎姿勢を伝える必要がある。

アフタヌーンティーの価値は、会話だけではない。ケーキの造形、紅茶の香り、ホテルの空間や接客へ静かに集中することも、立派な楽しみ方である。これからの高価格帯スイーツ市場では、「何人で来てもらうか」よりも、「1人でも予約したくなる体験を作れるか」が重要になるだろう。
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