
ヒット商品は、しばらく単独で売り続けた方がよいようにも思える。しかし現在のスイーツ市場では、売れた商品ほど早く次の一手を打つケースも少なくない。
【レポート】不二家:1ヵ月で累計販売数40万個を突破した生食感スイーツの第2弾「不二家の生ブッセ」過去一の軽やかさに注目
不二家は8月17日より、「生食感スイーツ」シリーズの第2弾となる「不二家の生ブッセ」を展開する。同シリーズは今年6月に「生ドーナツ」から始まり、発売1カ月で累計販売数40万個を突破。酷暑の中でも売り上げを伸ばしているという。第2弾はミルキー、ストロベリー、チョコレートの3種類で、今後は季節限定フレーバーも予定されている。
注目したいのは、初代商品の勢いが衰える前に、早くも別の菓子へシリーズを広げた点だ。
理由の1つは、「生ドーナツ」という個別商品ではなく、「不二家の生食感スイーツ」というカテゴリーそのものを定着させるためであると推察できる。1つの商品だけが売れても、それは単発のヒットで終わる可能性がある。ドーナツに続いてブッセを投入すれば、「不二家には生食感を楽しむシリーズがある」と消費者に認識してもらいやすくなる。

売り場を維持する効果も大きい。発売直後の商品は店頭で目立つ場所に置かれやすいが、時間がたてば新商品に押し出される。第2弾を続けて出すことで、シリーズ全体として新鮮さを保ち、陳列スペースや消費者の関心をつなぎ止められる。
さらに、初代商品を買った客に、もう一度店を訪れる理由を作れる。生ドーナツを気に入った人は、同じクリームや食感の方向性を持つ生ブッセにも興味を抱きやすい。ゼロから新商品を説明するより、すでに支持されたシリーズ名を使う方が、購入への心理的なハードルは低い。

一方、第2弾の投入が早すぎれば、初代商品の売り上げを奪う可能性もある。選択肢が増えることで話題が分散し、「生ドーナツ」の寿命を自ら縮める危険も否定できない。
それでも不二家が攻勢をかけるのは、現在のヒット商品には「休ませて育てる」より、「熱があるうちにシリーズへ育てる」発想が求められているからだろう。40万個という数字はゴールではなく、次の商品を消費者に試してもらうための強力な広告でもある。重要なのは、第2弾が売れるかだけではない。「生食感なら不二家」という印象まで残せるかが、今回の展開の成否を分けそうだ。
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