
スイーツと言えば、「甘さ」が醍醐味だ。ところが最近、その反対にある「苦み」も、商品の個性として積極的に打ち出されている。
【実食レポ】抹茶が想像以上に濃い 不二家「濃い抹茶ケーキ」は苦味まで楽しめる抹茶尽くしの一品
販売中の「不二家の濃い抹茶ケーキ(鹿児島県産抹茶使用)」もその一例だ。鹿児島県産抹茶を使い、抹茶スポンジ、抹茶クリーム、ガナッシュを重ねた一品で、抹茶らしい苦味がしっかり残る。甘さで抹茶を包み込むというより、「苦味まで味わう」ケーキになっている。

同様の動きは他店でも見られる。富士屋ホテルが4月25日に発売したムースケーキ「抹茶・セゾン」は、和三盆の優しい甘みに「香り高い抹茶のほろ苦さ」を重ね、さらにアプリコットの酸味を組み合わせた。苦味を抑えるのではなく、甘味や酸味と並ぶ味の構成要素として扱っている。

福岡発の揚げスイーツブランド「アゲサン(Age.3)」が2026年5月に発売した「ドバイチョコ餅[抹茶]」も興味深い。求肥やカダイフ、ヘーゼルナッツチョコレートに抹茶を合わせ、「抹茶の香りとほろ苦さ」を加えることで味に奥行きを持たせた。海外発のトレンドスイーツに、日本らしい「苦い」を足して差別化している。

抹茶以外にも「苦い」は広がる。ファミリーマートが7月28日に発売した「ミルクサンド(キャラメルソース入り)」では、北海道牛乳を使ったミルククリームの中に、あえて「ほろ苦キャラメルソース」を投入。濃厚なミルクの甘さを苦味で締める設計だ。

さらにコーヒー系では、ティラミスなどで苦味が欠かせない。タリーズコーヒーも2026年夏の「マスカルポーネティラミスシェイク」で、コーヒーシロップが染み込んだココアスポンジの「ほろ苦さ」とマスカルポーネの味わいを組み合わせている。

こうして見ると、「苦い」はスイーツにとって甘さの反対ではない。抹茶なら素材の濃さ、コーヒーなら香ばしさ、キャラメルなら焦がした風味を伝える要素になる。
「ほろ苦い」、「ビター」、「濃い」。かつてなら食べにくさにもつながった言葉が、今では「本格的」、「大人向け」、「甘すぎない」を伝える褒め言葉になりつつある。スイーツは、どれだけ甘くするかだけでなく、「どんな苦さを残すか」を競う時代に突入しているのかもしれない。

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