
茨城県産メロンを使ったスイーツフェアの展開が、首都圏を中心に活発化している。東京都内など関東圏43店舗では県オリジナル品種「イバラキング」を使ったメニューが登場し、ルミネ新宿では鉾田市産メロンを使ったフェアが史上最多の29店舗規模で開催される。産地が青果売り場だけでなく、カフェや洋菓子店、商業施設のスイーツ売り場にまで接点を広げているのはなぜか。
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背景にあるのは、茨城県が誇る「メロン日本一」という圧倒的な実績だ。農林水産省の令和6年産野菜生産出荷統計によれば、令和6年産の同県のメロン出荷量は3万4,600トンで、全国12万6,000トンの約4分の1を占める。2位の熊本県1万9,800トン、3位の北海道1万7,700トンを大きく上回り、27年連続で生産量日本一を維持している。量で見れば、茨城県はまさに“メロン王国”といえる。

ただし、産地としての強さは、そのまま消費者の記憶や購買行動に直結するとは限らない。農林水産省関東農政局の資料によると(茨城県拠点、令和7年10月付け)、令和5年の関東地方の中央卸売市場における茨城県産メロンの平均卸売価格は1kgあたり499円。一方、静岡県産は1kgあたり1,524円で、価格面では大きな差がある。つまり茨城県産メロンには、供給量の大きさに対して高級感、贈答感、特別感といったブランドイメージをさらに高める余地がある。
そこで有効な手の1つが、スイーツフェアという形だ。メロンを青果として売る場合、消費者は価格、熟し具合、食べ頃、保存方法などを気にする必要がある。一方でパフェ、ショートケーキ、タルト、パンケーキなどに仕立てれば、メロンは手軽に楽しめる旬のご褒美になる。食べる前から写真に撮りたくなるビジュアルもあり、SNSでの拡散とも相性がよい。”スイーツ化”によって、売り場の外へ拡散する力が増す。

特に鉾田(ほこた)市は、令和5年のメロン農業産出額が81.8億円で、茨城県全体の約58パーセントを占める中心産地である。鉾田市産メロンを前面に出したフェアは、単なる販売促進ではなく、産地名そのものを消費者に覚えてもらうブランディングの場でもある。

茨城県がメロンスイーツフェアに積極的なのは、「たくさん作れる産地」から「選ばれるブランド産地」へ進むためだとも考えられる。日本一という事実を、数字だけでなく味わい、見た目、体験として届ける。メロンは畑で育ち、スイーツ売り場で記憶に変わる。その記憶の積み重ねこそが、茨城県産メロンの次の価値を創りだす。
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