【コラム】”たった30円”で客を動かす コンビニ各社が小幅値引きを展開するワケ

「セブンカフェ ベーカリー」30円引きキャンペーンのイメージビジュアル全国
「セブンカフェ ベーカリー」30円引きキャンペーンのイメージビジュアル
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 コンビニ各社で今、30円引きや50円引きといった数十円単位の割引キャンペーンが目立っている。その理由とは?

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 ファミリーマートは、ミルクスイーツ7商品を集めたキャンペーンに合わせ、ファミペイ会員を対象に期間中何度でも使える50円引きクーポンを配信する。一方、セブン‐イレブンは「セブンカフェ ベーカリー」の店内で焼いた・揚げた商品を、3日間限定で30円引きにする。

 数十円の割引では、消費者にとって大きなお得感がないようにも見える。しかし200~300円前後の商品では、30円引きでも約1~2割、50円引きなら商品によっては2割以上の値引きになる。特に、購入するか迷いやすいスイーツやパンでは、「少し安いなら試してみよう」と背中を押すには十分な金額だ。

 コンビニ側にとっても、小幅値引きは利益を大きく損なわずに来店や購買を促せる。割引商品を目的に訪れた客が、飲料や弁当、菓子などを一緒に購入すれば、店舗全体の客単価を維持できる。30円を失う代わりに、コーヒーや昼食まで買ってもらえれば、キャンペーンとしては成功というわけだ。

「ほっぺたとろける!ミルクスイーツ」キャンペーンのビジュアルイメージ
「ほっぺたとろける!ミルクスイーツ」キャンペーンのビジュアルイメージ

 また、小幅な割引には、需要が集中しすぎるのを防ぐ役割もある。セブン‐イレブンは6月、スムージーを1日限定で半額にしたところ、一部店舗で行列や品切れ、機器停止が発生した。今回のベーカリー企画では、期間を3日間に広げ、割引額を30円に抑えている。大幅値引きで客を一気に集めるより、需要を分散させながら商品を体験してもらう狙いがうかがえる。

 アプリ会員の獲得や利用促進も重要だ。ファミリーマートのように、割引を自社アプリ限定にすれば、会員登録やアプリを開く習慣をつくれる。利用履歴を基に、次のクーポンや商品情報を届けることも可能になる。50円の値引きは、単なる安売りではなく、顧客との接点を増やすための投資でもある。

 物価高で消費者の節約意識が強まる一方、コンビニも原材料費や人件費の上昇を抱えている。大幅値引きを続けることは難しい。だからこそ、客には「お得」、店には「負担が重すぎない」という接点として、数十円の割引が選ばれるのかもしれない。

 こうして見ると、コンビニ各社の30円引き、50円引きは小さく見えて、実は緻密に設計された販促策とも言える。値引き額そのものより、「今なら買う理由」を作ることに本当の目的があるのだ。

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