
近年、パフェやパンケーキ、スコーンなどに“ショートケーキ風”を謳う商品が目立つ。「nana’s green tea」の「桜の苺ショートケーキパフェ」は、イチゴ・ホイップクリーム・スポンジを重ね、食べ進めるほどショートケーキを感じる構成に仕上げている。モロゾフの「プリンパフェ(ストロベリーショートケーキ)」も、プリンとストロベリーショートケーキの味わいを組み合わせた一品だ。
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理由の1つは、ショートケーキの素材が持つ“変換しやすさ”にある。イチゴ、生クリーム、スポンジという3要素は、ケーキとして完成度が高いだけでなく、分解しても強い。グラスに重ねればパフェに、パンケーキに挟めばショートケーキパンケーキに、スコーンへ組み込めばアフタヌーンティー向けの一品になる。「ビブリオテーク」では、イチゴのコンフィチュールやクリームをパンケーキに合わせ、フレジェのような濃厚さとイチゴの香りを打ち出している。伊勢丹浦和店の催事でも、ショートケーキの素材をスコーンで組み立てた商品が登場した。

もう1つは、“いい意味での違和感”だ。ショートケーキは本来、皿の上でフォークを入れるもの。しかしそれがグラスやスコーン、パンケーキの形で現れると、見慣れた味なのに少し新しい。くら寿司の「いちごのショートケーキパフェ」は、スポンジやホイップを使いつつ、マスカルポーネムースで軽やかに仕立てている。王道をそのまま移すのではなく、食感や重さを調整することで「知っているのに初めて」という感覚が生まれる。

さらに、イチゴのビジュアル力も大きい。赤と白の組み合わせは、写真で伝わりやすく、季節感も出しやすい。断面を見せる、トップに飾る、グラス側面に並べる——どの形でも“映える”。

桃を使ったショートケーキパフェのように、スポンジとクリームを重ねれば、イチゴ以外の果物でもショートケーキの記号性を応用できる。

そして何より、ショートケーキは誰もが知るスイーツだ。説明しすぎなくても伝わり、懐かしさも、特別感もある。だからこそ他ジャンルに置き換えた時、親しみやすさと新鮮さを同時に届けられる。いわばショートケーキは、スイーツ界の“共通言語”。パフェになっても、パンケーキになっても、スコーンになっても、見る人の頭の中で自然に味のイメージが立ち上がる。
“ショートケーキ風”の広がりは、単なるアレンジブームではない。王道の安心感を借りながら、形を変えることで新しさを作る。そこに、今のスイーツ企画の強さがある。
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