
ミスタードーナツの「もっちゅりん」が、またしても大きな注目を集めている。今年6月3日から復活販売される同商品は、5月14日朝からミスドネットオーダーで予約受付を開始。直後からアクセスが集中し、SNS上では「買えない」「待機時間が長い」といった声が相次いだ。中には“1000分”や“10万分”待ちと表示されたユーザーもいたという。ドーナツを買うはずが、もはや耐久イベントである。
【関連記事】ミスド「もっちゅりん」予約競争が過熱 10万分待ちの声も SNSで一時トレンド入り「もっちゅりん」がここまで人を動かす理由は、まず“正体が一口で伝わりきらない”ことにある。2025年の発表会では、国産のもち粉と米粉の配合、専用コーティングにより、手に取った時の柔らかさと、食べた瞬間の弾力を両立した“もっちゅり食感”が紹介された。従来の「もちもち」でも「ふわふわ」でも説明しきれない。その曖昧さこそが強い。人は理解できるものより、少しだけ理解できないものを確かめたくなる。
例えば「もっちゅりん みたらし」は、2025年に実食した際の味わいを思い出すと、みたらし団子ではなく、たしかにドーナツだった。ここに「もっちゅりん」の肝がある。和菓子の懐かしさをまといながら、着地点はミスドのドーナツ。知っている味の安心感と、知らない食感の新しさが同居している。未知なのに怖くない。むしろ近所で買えそうな未知。これが強い。

さらに、商品名の勝利も大きい。「もっちゅりん」は、聞いただけで口の中の感覚を想像させる。しかも少し言いたくなる。スイーツのヒットには、味だけでなく“会話に乗る名前”が必要だ。SNSでは「食べた?」より先に「もっちゅりん買えた?」が成立する。商品名そのものが、口コミの燃料になっている。
そして今回は、2025年の“買えなかった記憶”が追い風になっている。前回は売り切れが続出し、ミスタードーナツ側も「予想を大きく上回る反響」とコメントした。つまり今回の復活は、単なる再販ではない。食べられなかった人にはリベンジ、食べた人には再会である。そこに新作「もっちゅりんいちご」も加わった。過去の熱狂に、新しい理由を上乗せした形だ。

「もっちゅりん」騒動は、品薄だけで起きた現象ではない。開発に約2年をかけた独自食感、和素材の親しみ、語感の強さ、期間限定の焦燥感、そしてミスドという身近なブランドへの信頼。それらが重なった結果、人々は予約画面の前に並ぶ。おいしいものを食べたいだけではない。話題の中に入り、自分の舌で“もっちゅり”を確認したいのだ。
だから「もっちゅりん」は、ただのドーナツではなく、参加型の食体験になった。買えた人は喜びを語り、買えなかった人は次を狙う。甘くて平和な購入合戦は、2026年も続きそうである。
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