
ケーキをアイスにする。ソフトクリームをケーキにする。かき氷でショートケーキやモンブランを表現する。近年のスイーツ市場では、単に特定の素材やフレーバーを取り入れるだけでなく、別ジャンルのスイーツそのものを再現しようとする商品が目立っている。
【実食レポ】アンナミラーズの人気ケーキを”アイス化”したファミマの2商品、試してみた
ファミリーマートがアンナミラーズと組んで発売したアイスは、その分かりやすい例だ。「ブルーベリーチーズケーキ」では、チーズアイスにブルーベリーソースやクッキークランチを重ね、「ダッチアップルパイ」では、リンゴ、シナモン、ストラッセルを組み合わせている。単なる「ブルーベリー味」や「リンゴ味」ではなく、ケーキやパイを構成する味、香り、食感までカップアイスの中に移し替えた商品である。

反対に、きのとやの「極上牛乳ソフトのクリームチーズケーキ」は、人気のソフトクリームをケーキとして再構成した。ソフトクリームのようななめらかなクリームに、チーズムース、はちみつ、ベイクドチーズケーキ、タルトを重ね、看板商品の乳味や口溶けを別の菓子へ展開している。

かき氷でも、ショートケーキやチーズタルト、バスクチーズケーキ、モンブランなどを表現する動きが広がる。氷にはスポンジも焼成工程もない。それでもクリーム、果物、ソース、クランチなどを重ねることで、消費者の記憶にあるケーキ体験を呼び起こしている。

背景にあるのは、フレーバーだけでは新規性を伝えにくくなっている事情だろう。「イチゴ味のかき氷」より「ショートケーキ氷」、「リンゴ味のアイス」より「ダッチアップルパイアイス」と名付けた方が、味の広がりや食感、ご褒美感まで想像しやすい。商品名自体が、完成形を消費者に伝える説明書になる。
ただし、名前を借りるだけでは再現したことにならない。何を入れれば、そのスイーツらしくなるのか。アップルパイならリンゴだけでなくシナモンや生地の香ばしさ、チーズケーキなら乳味だけでなく土台のクッキーまで必要になる。ジャンルを変換する作業は、元の商品を味覚の要素へ分解し、別の温度や形状で組み直す行為でもある。

これは、コラボされるブランド側にも意味がある。アンナミラーズにとっても、自社らしさが店の外観や歴史だけでなく、リンゴ、シナモン、カスタード、グラハムクラッカーなど、どの要素によって成立しているのかを再確認する機会になる。別ジャンルへの商品化は、新たな顧客との接点を生み出すと同時に、ブランドの本質をあらためて見つめ直す作業でもある。
スイーツのジャンル越境は、奇抜なネーミングだけを競う動きではない。慣れ親しんだ味を異なる温度、食感、形で再編集し、新しい食体験として届ける商品開発である。今後もケーキのアイス化、アイスのケーキ化に限らず、プリン、ドーナツ、パフェなどを相互に変換する商品は増えていきそうだ。
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