
正月の食卓と言えば、黒豆、数の子、伊達巻などを詰めた伝統的なおせち料理がポピュラーだ。しかし近年、その隣に「スイーツおせち」という新しい選択肢が定着しつつある。
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今年8月、ストリングスホテル 名古屋は初のスイーツおせち「スイーツ重〜一慶(IKKEI)〜」を発表した。西尾産抹茶のオペラやフルーツ大福、ショートケーキなどを二段重に詰め合わせたもので、“年間オールスター”的な構成になっている。
こうした商品はホテルだけのものではない。2026年新春向けには高島屋が「スウィーツおせち 二段重」や「モンサンクレール」のスイーツおせちを販売するなど、百貨店のおせち売り場でも1つのカテゴリーになっている。 イオンでも2027年新春向けの「おせち」商品として、抹茶とストロベリーを組み合わせた「シェアするケーキ」を8月から予約販売している。
一体なぜ、スイーツがおせちになるのか?
大きな理由の1つは、おせちそのものの役割が変わってきたことだろう。現在のおせちは「伝統料理を食べるもの」であると同時に、「年に一度、家族や親戚が集まる食卓を華やかにするもの」になっている。実際、イオンは2026年向け商品で、和食だけでなく洋食や中華を組み合わせた“ハイブリッドおせち”を打ち出した。 料理のジャンルよりも、「みんなで少しずつ好きなものを選べること」が重視され始めていると考えれば、そこにスイーツが加わるのは自然な流れとも言えるだろう。

スイーツと重箱の相性もいい。小さなケーキ、マカロン、和菓子、チョコレートなど、多種類の商品を少量ずつ詰め合わせられる。ふたを開けた瞬間の華やかさもあり、写真や動画で共有されやすい。通常のホールケーキとは違い、家族それぞれが好みの一品を選べることも、おせち型ならではのメリットだ。
販売側にもメリットがある。クリスマスケーキ商戦が終わった直後の年末年始は、洋菓子店やホテルにとって次の需要を作りたい時期。スイーツおせちは、既存の人気商品や得意な菓子を「新春限定の詰め合わせ」として再編集できる。さらに百貨店やスーパーにとっても、従来のおせちを積極的に食べない若い世代や子どものいる家庭まで、正月商戦の対象を広げられる。
つまり、スイーツおせちの増加は単なる変わり種商品の流行ではない。「正月だから決まったものを食べる」から「正月だから家族で好きなごちそうを楽しむ」へ。おせちという文化の器は残しながら、中身が現代の食生活に合わせて変化している。その象徴の1つが、全国で存在感を増しているスイーツおせちなのかもしれない。
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