【夏から始まる商戦】猛暑なのにもうクリスマスケーキ? スイーツ業界の季節が4ヵ月先を走るワケ

「フロレゾン・ディヴェール」イメージコラム
「フロレゾン・ディヴェール」イメージ
「フロレゾン・ディヴェール」イメージ
「フロレゾン・ディヴェール」イメージ

 厳しい残暑が続く8月。かき氷やアイスを求める人が多い時期にもかかわらず、スイーツ業界では早くもクリスマスケーキの情報が出始めている。

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「ホテルインディゴ犬山有楽苑」2026年クリスマスケーキのイメージ
「ホテルインディゴ犬山有楽苑」2026年クリスマスケーキのイメージ

 ホテルメトロポリタン長野は8月20日、開業30周年を記念したプレミアムクリスマスケーキ「フロレゾン・ディヴェール」を発表した。予約開始は10月1日、受け取りは12月24日・25日。同日には、愛知県犬山市の「ホテルインディゴ犬山有楽苑」も、クリスマスケーキ2種の予約受付を早くも開始した。クリスマス本番より4ヵ月も早い時期から、すでに複数のホテルが販売へ動き出しているのである。ケーキニュース編集部にも、他施設からクリスマスケーキに関する情報が届き始めている。

 一体なぜ、猛暑の最中にクリスマスケーキがニュースになるのか?

「アンテノール」の「ホワイト・スノーマン」(2024年撮影)
「アンテノール」の「ホワイト・スノーマン」(2024年撮影)

 まず考えられるのが、クリスマスケーキの企画規模だ。前提として、スイーツ業界においてクリスマスケーキの販売時期は、バレンタインに並ぶ稼ぎ時である。ホテルや百貨店では、テーマの決定から試作、食材の確保、価格設定、撮影、カタログ制作、予約システムの準備まで、多くの工程が必要になる。特にイチゴやチョコレート、乳製品などの価格が変動する中、安定して必要量を確保するには早めに動かなければならない。消費者の目に触れるのは8月でも、作り手にとってのクリスマスは、さらに何ヵ月も前から始まっていることが少なくない。

 広報面の事情も大きい。近年はホテル、百貨店、コンビニ、専門店などが一斉にクリスマスケーキを展開する。秋になってから発表すると、情報が集中し、自社商品が埋もれかねない。競合が少ない8月に発表すれば、「今年最初のクリスマスケーキ」としてニュースになりやすく、時間をかけて商品を認知してもらえる。

「フロレゾン・ディヴェール」イメージ
「フロレゾン・ディヴェール」イメージ

 今回のような限定10台の高価格帯商品では、早期発表との相性がさらに良い。すぐに購入してもらうのではなく、まず存在を知ってもらい、予約開始まで期待を高める期間をつくれるからだ。記念日や数量限定といった物語性のあるケーキは、発売直前の告知よりも、段階的に話題を育てるほうが効果的なのだろう。

 加えて、スイーツ業界では季節企画の切り替えが連続している。夏の終盤にはハロウィン、秋口にはおせちとクリスマス、その後はバレンタインへと進む。店頭の季節は夏でも、企画と広報のカレンダーはすでに冬を走っている。

 例年、クリスマスケーキの発表が早まって見えるのは、単なる気の早さではない。競争が激しくなる中、商品を確実に準備し、少しでも早く消費者の「今年はこれにしよう」という候補へ入るためである。猛暑の中で流れるクリスマスのニュースは、スイーツ業界が実際の季節より数ヵ月先を走っている証しなのである。

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