
秋スイーツの定番である、さつまいも。かつては商品名に「おいも」や「さつまいも」と入っているだけでも季節感を演出できたが、近年は使用する品種まで細かく打ち出す商品が目立つ。1種類ではなく、複数の品種を1つの商品に組み合わせる動きも見られる。
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象徴的なのが、サンマルクカフェの「薫る蜜『芋』プレミアムチョコクロ」だ。鳴門金時、安納芋、紅あずま、九州産さつまいもの4種類を使用。安納芋はチョコレート、紅あずまはペースト、鳴門金時は甘露煮、九州産さつまいもはフィリングに仕立てている。
単に4種類を混ぜたのではない。それぞれに異なる加工を施し、甘み、なめらかさ、ホクホク感、食べ応えを重ねている。言うなれば、複数の品種を使って「芋味」に立体感を生み出している。
スターバックスでも、2026年秋に「紅はるかと安納芋の焼き蜜芋ケーキ」が登場する。すっきりと上品な甘さを持つ紅はるかと、蜜のように濃厚でコクのある安納芋を組み合わせ、軽やかさと濃厚さを両立させた。こちらも2種類を使う必然性が、味の設計に表れている。

コンビニでも、品種の使い分けは広がっている。ファミリーマートが2025年に展開した「ファミマのお芋掘り」では、紅はるか、紅あずま、鳴門金時、紅芋などを商品ごとに採用。「紫いもと紅はるかのモンブランアイス」では、2種類を1つの商品に組み合わせていた。
背景には、消費者の“さつまいも解像度”が上がったこともありそうだ。焼き芋専門店の増加などによって、「ねっとり系」「ホクホク系」といった違いが広く知られるようになった。品種名は、産地名と同じように、味を想像させる言葉になりつつある。
商品を販売する側にもメリットがある。「さつまいも使用」より、「紅はるかと安納芋を使用」「4種類のお芋を使用」と伝えた方が、特徴や特別感を打ち出しやすい。原材料費が上昇する中で、価格に納得してもらうための付加価値にもなる。
もちろん、品種を増やせば必ず成功するわけではない。大切なのは、それぞれに役割や必然性があることだ。ワインやコーヒーのブレンドと同様に、甘さ、香り、食感を補い合ってこそ、複数使いは意味を持つ。
これからの秋スイーツでは、「芋が入っているか」だけでなく、「どの芋を、どう組み合わせたか」が競われるのかもしれない。さつまいもは、もはや1つの味ではない。秋の定番素材は、品種を重ねて、さらなる高みを目指す時代へ入り始めている。
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