
ミスタードーナツの「もっちゅりん」が、今年も大きな注目を集めている。昨年の熱狂を受けて復活した同商品は、6月3日の販売開始前からネットオーダーにアクセスが集中。販売初日には「食べられた」、「売り切れていた」といった声がSNS上に相次ぎ、店舗によっては台風の最中でも完売する空前絶後の人気ぶりだ。
【コラム】全国各地で夜スイーツ需要が高まる理由 “飲む夜”から“甘く締める夜”へこれは間違いなく、大ヒット商品の証左である。国産のもち粉と米粉を使った独自の“もっちゅり食感”、和素材の親しみやすさ、思わず口にしたくなる商品名。単なるドーナツではなく、「一度は自分の舌で確かめたい」参加型のスイーツ体験になったことが、大勢の人々を動かしている。

一方で、売れすぎは必ずしも幸せな話だけではない。大ヒットしたからこそ、在庫管理の難しさを浮き彫りにしている。昨年すでに大きな反響があり、2026年は事前予約の開始を早めるなど、より多くの人に届けるための工夫も見られた。それでも、2年目にしてなお需要が供給を上回る場面が生まれている。トレンドスイーツ化した商品の勢いは、製造計画や店舗ごとの販売量を軽々と飛び越えてしまう。
特に悩ましいのは、買えなかった人の不満が商品そのものではなく、企業や店舗への不満として可視化されやすい点だ。一部記事では、客同士のトラブルや買い占め、転売疑惑も取り上げられている。甘いドーナツが、いつの間にか社会問題の入口に立たされている。まさに人気商品の副作用である。

もちろん、これは「売れる商品を作ったこと」が悪いわけではない。むしろ、消費者の記憶に残り、再販を待たれ、SNSで語られる商品を生み出したことは大きな成果だ。ただし、その熱量が大きくなるほど、企業には「話題を作る力」だけでなく、「熱狂を受け止めきる販売体制」も求められる。購入数制限、販売時間の分散、予約枠と店頭販売のバランス、地域ごとの供給差の説明など、甘い人気を苦い体験にしないための工夫がますます重要になる。
「もっちゅりん」は、まさしくドーナツ界のスター選手になった。だがスターには歓声だけでなく、混雑整理もついてくる。多くの人が楽しく食べられてこそ、ヒット商品は真の定番候補になる。売れすぎるほど愛されるドーナツだからこそ、次に問われるのは、その熱狂をどのようにしっかり受け取るか、なのかもしれない。
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