【令和の若者を招く】苦くないコーヒーは必要か スタバが「初心者向け2種」を投入する理由

令和の若者向けのビバレッジ2種が誕生コラム
令和の若者向けのビバレッジ2種が誕生
令和の若者向けのビバレッジ2種が誕生
令和の若者向けのビバレッジ2種が誕生

 スターバックスは7月31日より、苦味を抑えた「クリア コーヒー」と、柑橘の果実感を加えた「シトラス クリア コーヒー」を全国で発売する。特徴的なのは、季節限定商品を待つ既存ファンではなく、「コーヒーに興味はあるが、あまり飲んだことがない若者」を明確に対象としている点だ。

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 通常、カフェの企画商品は、常連客に新鮮さを提供したり、夏やクリスマスといった季節需要を取り込んだりする役割が大きい。今回はそれとは異なり、コーヒーを飲む習慣そのものがない人に、最初の1杯を注文してもらおうとしている。いわば新商品の販売というより、新しいコーヒー客を育てるための“入門講座”だ。

 今回の2商品は、若者から寄せられた「苦そう」、「後味が心配」、「自分に合う商品が分からない」といった声をもとに開発された。エスプレッソは苦味を抑える抽出方法を採用し、シロップやシトラス果肉によって甘さや飲みやすさを加えている。コーヒーらしさを強く主張するのではなく、最初につまずきやすい苦味という段差を低くした設計だ。

 背景には、若者の飲料の選択肢が広がっていることもあるだろう。ゴンチャをはじめ、茶やフルーツを前面に出した店が支持され、スターバックス自身も「スターバックス ティー & カフェ」を展開している。コーヒーチェーンであっても、若い客が最初からコーヒーを選ぶとは限らない時代になった。

 国内のコーヒー消費量にも、安心できない動きが見える。全日本コーヒー協会によると、国内消費量は2016年の約47万2511トンから、2023年は約40万1627トン、2024年は約40万218トン、2025年は約39万7272トンへと減少。2025年は前年比0.7パーセント減だった。日本は世界有数のコーヒー消費国である一方、近年の市場は右肩上がりとは言いにくい。

 そこで重要になるのが、現在よく飲む人に「もう1杯売る」だけでなく、まだ習慣のない人を「市場へ招く」ことだ。若者が甘く軽い1杯から入り、やがてラテ、エスプレッソ、豆の違いへ興味を広げれば、長期的な顧客になり得る。

 もちろん、苦味を薄めすぎれば「これはコーヒーなのか」という疑問も生まれる。それでも、入口まで本格派である必要はない。ブラックコーヒーをいきなり卒業試験にせず、まずは飲みやすい1杯を用意する。今回の2商品は、令和の若者にコーヒー文化を引き継ぐべく、珍しくも戦略的な初心者向け商品と言えそうだ。

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