
長年親しまれてきたスイーツの味を、タルトやシェイク、パイなど別の商品へと変換する動きが目立っている。単なる味の再現ではない。すでに知られているブランド資産を活用しながら、新しい購買理由を作る戦略とも考えられる。
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不二家洋菓子店が8月1日から展開する新たなタルトシリーズでは、「ミルキー」、「カントリーマアム」、「ノースキャロライナ」などのロングセラー商品を焼き菓子として再構成している。「ミルキータルト」では北海道産練乳、「カントリーマアムタルト」ではクッキーやチョコチップを用いるなど、元商品の特徴を残しながら、異なる食感と形に仕立てた。

マクドナルドと森永製菓のコラボでも、「チョコボール」はマックフルーリー、「森永ラムネ」はマックシェイク、「森永ミルクキャラメル」はホットパイへ変換された。いずれも元の商品をそのまま入れるだけではなく、ピーナッツの食感、ラムネの爽快感、キャラメルのコクといった“らしさ”を、別のスイーツの構造へ落とし込んでいる。

こうした商品が強い第1の理由として考えられるのは、説明コストの低さにある。「ミルキー味」、「チョコボール味」と聞けば、消費者は食べる前から甘さや香りを想像できる。全く未知の商品よりも購入時の不安が小さく、それでいて「タルトになったらどうなるのか」という好奇心が生まれる。“知っている味なのに食べたことがない”という、安心感と新奇性の中間を狙える。
第二に、既存商品の弱点を別の形態で補える。キャンディーや小粒の菓子をタルトにすれば、ティータイム向けの満足感を持たせられる。常温菓子をシェイクやフルーリーにすれば、夏場にも選ばれやすくなる。形を変えることで、食べる季節、時間、場所まで広げられるのだ。

さらに、親世代には懐かしさを、若い世代には新商品として届けられる点も大きい。新ブランドを一から育てるより、すでに蓄積された知名度や思い出を活用した方が、幅広い世代へ訴求しやすい。

ただし、有名な名前を付けるだけでは成功しない。元商品の特徴が弱ければ「結局、普通のタルトだった」と失望される。反対に再現を優先しすぎれば、新しい形にした意味が薄れる。必要なのは、味をコピーすることではなく、その商品の記憶を別の食感や温度で再編集することだ。
有名スイーツの変換商品は、過去の人気に頼るだけの企画ではない。完成された定番を壊さず、食べ方だけを更新する。新商品を大量に生み出す時代だからこそ、古くからある味をどう変身させるかが、企業の企画力を示すようになっている。
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