
街を歩けばスターバックス、タリーズ、ドトール、コメダ珈琲店、そして個人経営のカフェまで、さまざまな店が目に入る。コンビニコーヒーも定着した現在、単に「おいしいコーヒーが飲める」というだけでは、カフェ同士の差は作りにくくなった。そんな群雄割拠の市場で、スターバックスがあらためて力を入れているように見えるのが「場所」である。
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象徴的なのが新幹線ホームへの進出だ。2025年11月、JR新横浜駅の新幹線下りホームに全国初となる店舗を開業。2027年には名古屋駅、京都駅の新幹線ホームにも出店を予定している。一般的な駅前や商業施設とは違い、新幹線ホームは誰でも簡単に店をかまえられる場所ではない。そこで店を展開すること自体が、ブランドに希少性を与える。

8月10日には、横浜市金沢区の国登録有形文化財「旧長濱検疫所一号停留所」に「横浜海の公園店」をオープンする。1895年(明治28年)に建てられた洋館の内装や歴史を生かし、海辺の景観と組み合わせた店舗だ。ここではコーヒーだけでなく、「歴史的建築でスターバックスを楽しむ」という体験そのものが価値に加わる。
新幹線ホームと登録有形文化財。一見するとまったく異なる出店だが、共通するのは他社が容易にまねできない「場所」を確保していることだ。
これは、店舗数や価格だけで競うのではなく、「スターバックスだから実現できる店」を増やす戦略とも考えられる。特別な場所への出店が積み重なれば、スターバックスは単なる大手カフェチェーンではなく、一段上のブランドとして認識されやすくなる。

もう一つ興味深いのが、地域との結び付きだ。2026年8月から青森、群馬、沖縄で始める「STARBUCKS JIMOTO PROGRAM」では、リンゴや黒糖など地域の素材を使った限定ドリンクを展開。一部を通年販売し、「その土地で飲む意味」を商品にも持たせている。
つまりスターバックスが強めているのは、「どこに行っても同じスタバ」ではなく、「そこに行かなければ体験できないスタバ」なのではないか。

カフェが増え続けるほど、商品だけで差別化することは難しくなる。その中で、簡単には手に入らない立地、地域固有の歴史や文化、そこでしか味わえない商品を取り込んでいく。スターバックスは店舗数を競う段階から、「どこに店を持つか」でブランドの価値を高め、他ライバルから頭1つ抜き出ようとしつつある。

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