【考察】なぜスタバは新幹線ホームへの出店を急ぐのか? 「旅の始まり」をブランド価値に変える狙い

「スターバックス JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」イメージカフェ
「スターバックス JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」イメージ
「スターバックス JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」イメージ
「スターバックス JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」イメージ

 スターバックスが、新幹線ホーム上への店舗展開に力を入れている。

【関連記事】横浜市の登録有形文化財内に初出店「スターバックス コーヒー 横浜海の公園店」8月10日オープン

 その起点となったのが、2025年11月21日に開業した「スターバックス コーヒー JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」だ。スターバックスが新幹線ホーム上に店舗を構える全国初のケースで、「Brewed to Go」をコンセプトにしたテイクアウト専用店として登場した。

 その後、同店はサービス向上のため一時休業し、リニューアルを経て、今年6月24日水曜日に営業を再開した。さらに同年7月28日からは、従来のキャッシュレス決済やモバイルオーダーに加え、ウェブ登録済みのスターバックスカードによるコード決済にも対応。公式アプリのストアパスポートには、同店限定のデジタルスタンプも加わった。

 そして2027年には、JR名古屋駅とJR京都駅の新幹線ホームにも順次出店する予定。新横浜で実験的に始めた店舗モデルを改善しながら、東海道新幹線の主要駅へ広げる段階に入ったと言える。

 なぜスターバックスは、一般的な駅構内ではなく、面積や滞在時間が限られる新幹線ホームに注力するのか。理由の1つは、乗車直前という購買意欲の高まりやすい瞬間を押さえられるからだろう。

 改札内の店舗であっても、ホームから離れていれば、発車時刻を気にして購入を諦める人はいる。ホーム上なら列車を待つ客の動線に直接入り込み、「乗る前にコーヒーを買っておこう」という需要を取り込みやすい。出張客や旅行客にとって、新幹線車内で飲むコーヒーや軽食は、移動時間を快適にするための小さな出費でもある。

 新横浜店は面積13.9平方メートルで客席を設けず、商品もブリュードコーヒーと軽食を中心に絞っている。出発前の限られた時間でも商品を渡せるようにした、回転率重視の店舗である。従来のスターバックスが得意としてきた「店内でゆっくり過ごす体験」とは、対照的な設計だ。

 これは同社が、滞在型カフェだけでなく、「移動中に利用するコーヒーブランド」へ接点を広げようとしていることを示す。主要駅への展開が進めば、「新幹線に乗る前にスターバックスへ寄る」という習慣を作ることも可能になる。店舗の売り上げだけでなく、旅客の行動そのものにブランドを組み込む戦略である。

 限定デジタルスタンプの導入も、単なる利便性向上ではない。店舗への訪問を記録し、旅先でスターバックスを巡る楽しさを加えることで、飲み物の購入をブランド体験へ変えられる。

 スターバックスが新幹線ホームへの出店を急ぐのは、駅ナカの空白地を埋めるためだけではない。これまでの「街中でくつろぐ場所」という価値に、「旅の始まりに立ち寄るブランド」という新たな意味を加えるためである。発車を待つ高揚感や車内で過ごす時間まで自社の体験に取り込めれば、店舗数の増加とは異なる、新しいブランド価値を創造できる。スターバックスは、ブランドのさらなる成長のカギを握るのは、発車ベルが鳴る新幹線ホーム上だと見定めているのかもしれない。

【関連記事】
【実食レポ】白桃とアールグレイ合わせた人、マジ天才 スタバの夏季限定タルトがご褒美すぎた件

東京・愛知・大阪・宮城・北海道:Nissy(西島隆弘)の企画カフェ、8月24日より順次期間限定オープン

【2026年8月の注目スイーツ】桃、ブドウ、凍ったまま食べるシュー…盛夏を彩る新作続々

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました