【考察】「世界一売れた」は味の保証になる? スイーツで“販売数”が信頼に変わる理由

「ザ・フィナンシェ<キャトル・セゾン>」8個入り・税込み2,700円コラム
「ザ・フィナンシェ<キャトル・セゾン>」8個入り・税込み2,700円
「ザ・フィナンシェ<キャトル・セゾン>」8個入り・税込み2,700円
「ザ・フィナンシェ<キャトル・セゾン>」8個入り・税込み2,700円

 「アンリ・シャルパンティエ」のプレーンフィナンシェが、2025年に年間3288万1884個を販売し、フィナンシェの年間販売個数で9度目となるギネス世界記録に認定された。

【考察】店はなくなっても味は残る “閉店した名物スイーツ”は誰のもの?

 3288万個という数字は、単純計算すれば1日あたり約9万個。もちろん、ギネス世界記録が認定しているのは「世界で一番おいしいフィナンシェ」ではない。あくまで販売個数という客観的な記録である。それでも「世界一売れた」という言葉には、かなり強い説得力がある。

 スイーツの味わいは、本来かなり主観的だ。甘さが強い方が好きな人もいれば、控えめな方を好む人もいる。バターの濃厚さを求める人もいれば、軽い口当たりを選ぶ人もいる。審査員を集めたとしても、「世界で一番おいしい」を完全に決めることは難しい。

 一方、販売個数は数字として残る。

 しかもスイーツは、一度食べれば終わりの商品ではない。おいしいと思えば再び買うことがあり、手土産として誰かに贈ることもある。長期間にわたって大量に売れ続けているのであれば、その背景には知名度だけではなく、味、価格、買いやすさ、ブランドへの信頼など、複数の理由があるはずだ。

 特に初めて商品を選ぶ消費者にとって、「多くの人が買っている」という情報は強い。

「アンリ・シャルパンティエ」フィナンシェのイメージ
「アンリ・シャルパンティエ」フィナンシェのイメージ

 売り場に知らないフィナンシェが10種類並んでいたとして、その中に「年間3288万個販売」と書かれた商品があれば、つい手が伸びる人は少なくないだろう。「これだけ売れているなら、大きく外れることはなさそうだ」という安心感が生まれるからだ。

 これは飲食店の行列やレビュー件数にも似ている。必ずしも「人気=自分にとって一番おいしい」ではない。それでも、多くの人が選んだという事実は、選択肢が多い時代において1つの判断材料になる。

 そして興味深いのは、販売数が増えるほど、その数字自体がさらに商品を売る力を持つことだ。売れる。記録になる。記録を見た人が安心して買う。そして、さらに売れる。

 もちろん、「一番売れた」と「一番おいしい」を同じ意味として扱うべきではない。しかし、味を数字で証明することが難しいスイーツの世界だからこそ、「これだけ多くの人に選ばれた」という実績には独特の強さがある。

 世界一売れたから、世界一おいしいとは限らない。

それでも「世界一売れた」という事実は、「一度食べてみよう」と思わせるには十分すぎるほど強い。スイーツにおいて販売数とは、人気の記録であると同時に、積み重ねられた信頼の数字なのかもしれない。

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