
東京都国分寺市の商業施設「ミーツ国分寺」に7月31日、「コメダ和喫茶おかげ庵 ミーツ国分寺店」がオープンする。同施設の2階には、すでに「コメダ珈琲店 ミーツ国分寺店」が営業している。一見すると、同じ系列の喫茶店を同一の施設に揃えるのは、自社店舗同士で客を奪い合う構図にも見える。
【関連記事】東京都国分寺市初出店「コメダ和喫茶おかげ庵」が駅直結の商業施設に7月末オープンしかし、両店はコンセプトだけでなく、フロアや店舗の役割も微妙に異なる。
2階のコメダ珈琲店は120席を備え、電源や無料Wi-Fiに加え、コワーキングスペースや1人用のパーソナルブースも設ける大型店である。買い物途中の休憩だけでなく、仕事や勉強、待ち合わせ、長時間の滞在にも対応しやすい。営業時間も午前7時~午後11時と長い。

一方、3階に開業するおかげ庵は32卓75席。国産の「お抹茶」や、客が席で焼く「おだんご」、抹茶ソフトクリームを使った「抹茶シロノワール」など、和の喫茶体験を前面に押し出す。「きしめん」や鉄板で提供する「レトロスパゲティー」も扱い、単にコメダ珈琲店のメニューを和風に置き換えた店舗ではない。

コーヒーとパンを楽しみながら仕事をしたい日は2階のコメダ珈琲店、抹茶や団子を目当てにゆっくり過ごしたい日は3階のおかげ庵。同じ喫茶店でも、客が求める時間の使い方は異なる。上下階に分かれていることで、店舗同士が隣り合う場合よりも重複感が薄く、各フロアを訪れた客を自然に取り込める利点もある。
これは自社店舗同士で客を奪い合うというより、施設内で生まれる幅広い飲食需要を系列全体で囲い込む戦略と考えられる。洋風喫茶を選ぶ客も、和甘味を求める客も、施設の外へ出さずに受け止められる。既存店が混雑していれば、もう一方が代替先にもなり、「コメダに入るか」ではなく「今日はどちらのコメダにするか」という選択が生まれる。

同じ施設への追加出店は、運営面でも合理的だ。既存店を通じて客層、混雑する曜日や時間帯、従業員の通勤環境、搬入経路、施設側のルールなどを把握できる。未知の商業施設へ進出するより、売上や必要人員を予測しやすく、施設運営会社との関係も活用できるだろう。
施設側にとっても、営業実績のある事業者が異なる業態を展開することは安心材料になる。系列店でありながら、メニュー、内装、座席数、利用目的、フロアをずらせば、テナントの重複を抑えながら選択肢を増やせる。
同じ系列だから、離れた場所に出さなければならないとは限らない。コンセプトと利用場面を少しずつ変えれば、競合店は補完関係に変わる。ミーツ国分寺への出店は、カフェの商圏が距離だけでなく、「客のその日の気分」によっても分けられることを示している。
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