
クリスピー・クリーム・ドーナツが日本上陸20周年を記念して実施する「できたてオリグレ食べ放題」が、高い注目を集めている。対象となるのは、同ブランドの看板商品「オリジナル・グレーズド」。しかも、製造3時間以内のできたてを45分間好きなだけ楽しめるという、ブランドとしても日本上陸以来初の食べ放題企画だ。実施は渋谷シネタワー店と東京国際フォーラム店の2店舗、6日間限定。1日3回、各回3組、1組最大4名まで参加できる少人数制で、6日間合計の参加人数は最大216名に限られる。
【関連記事】ミスド「もっちゅりん」売れすぎ問題 ”空前絶後の大ヒット”が生んだ悩ましい副作用話題化の理由は、単に「食べ放題だから」ではない。むしろ大きいのは、「あのオリグレを、できたてで、好きなだけ」という分かりやすさにある。クリスピー・クリーム・ドーナツにとって「オリジナル・グレーズド」はブランドの原点ともいえる商品であり、温かい状態ならではの軽い口溶けは、通常商品とは異なる体験価値を持つ。普段から親しまれている定番商品だからこそ、食べ放題化された瞬間に多くの人が味を想像しやすい。
さらに、企画の希少性も強い。できたての「オリジナル・グレーズド」を提供する店舗自体が限られているうえ、今回は事前抽選制で少人数のみが参加できる。SNS時代において、「誰でも買える新商品」よりも、「参加できるか分からない限定体験」の方が話題になりやすい。応募する、当選を待つ、当たった人が投稿するという流れそのものが、企画の拡散装置になる。
ここで注目したいのは、参加人数を大きく絞っている点だ。近年は、ミスタードーナツの「もっちゅりん」のように、話題化によって想定以上の来店や品薄が起き、店舗現場への負荷や消費者の不満につながるケースもある。今回の企画は、話題性の高い「食べ放題」でありながら、無尽蔵に客を受け入れるスタイルではない。1日3回、各回3組、1組最大4名までという設計により、1回あたりの参加者は最大12名に抑えられている。これは運営面でも賢い。商品の品質を保ち、体験の満足度を下げず、店舗オペレーションの混乱も避けやすいからだ。希少性を演出しながら、ブランド体験を崩さない設計になっている。
価格設定も巧みだ。大人1人1,760円は「オリジナル・グレーズド ダズン」のイートイン価格と同一で、ドリンク飲み放題や夏限定フルーツソーダ1杯も付く。単純な元取り感だけでなく、「いつもの価格感で特別な体験ができる」という納得感がある。物価高で外食やスイーツ消費に慎重さが出る中、こうした分かりやすいお得感は反応を得やすい。
今回の企画は、ブランドの周年施策としてもよくできている。新奇な商品を出すのではなく、最も象徴的な定番商品を主役に据え、体験型イベントに変換した点に強さがある。消費者にとっては懐かしさと特別感が同時にあり、ブランド側にとっては原点の魅力を再認識してもらう機会になる。話題性を狙った企画でありながら、ブランドの記憶を掘り起こす施策にもなっている。
「できたてオリグレ食べ放題」が注目されるのは、ドーナツをたくさん食べられるからだけではない。定番商品、限定体験、抽選制、周年記念、お得感という要素が重なり、ニュースとしてもSNS投稿としても伝わりやすい形になっているからだ。そのうえで、客数を明確に絞り、体験の質を守る判断まで含めて、よく考えられた周年企画といえる。
なお、「できたてオリグレ」は製造3時間以内の「オリジナル・グレーズド」。店頭での予約不可。
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