
デニーズの「まっぷたつ?パフェ」が、第79回広告電通賞のブランドエクスペリエンス部門で最高賞を受賞した。正面から見ると通常サイズのパフェに見える一方、横から見ると容器も中身も半分。写真映えを維持しながら、食べる量を抑えた商品である。
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このパフェの意義は、単に「小さいサイズを作った」ことではない。令和の消費者心理を否定せず、行動を少しだけ変える設計にある。
デニーズの調査では、54パーセントが写真映えを理由に料理やデザートを注文した経験があり、約3人に1人が食べ残した経験を持つという。SNSでは大きく豪華なメニューほど注目を集めやすい。しかし、撮影後に食べきれなければ、映えを追求する行動がフードロスにつながってしまう。

ここで「写真だけ撮るのはやめよう」「食べきれる量を注文しよう」と訴えるだけでは、若い世代には説教として受け取られかねない。「まっぷたつ?パフェ」は、正面から撮影される写真が多いというSNSの特性を逆手に取り、映える体験そのものは残した。楽しみを奪うのではなく、食べ残しにくい選択肢へ自然に誘導している。
令和の商品開発では、環境配慮や社会課題への対応が求められる一方、消費者に我慢を強いる商品は定着しにくい。紙製ストローや簡易包装のように、環境対応が使い勝手の低下として意識されれば、好意的に受け止められない場合もある。その点、「まっぷたつ?パフェ」は量を減らすことを欠点ではなく、驚きや会話のきっかけに変えた。

また、外食では原材料費や人件費が上昇し、巨大メニューを手頃な価格で提供し続けることも難しくなっている。量を半分にしながら視覚的な満足感を保つ発想は、フードロスだけでなく、食材使用量や提供価格を考える上でも応用できる。
昭和や平成の外食産業では、「大きい」、「多い」、「豪華」が価値になりやすかった。令和では、量だけでなく、撮影体験、食べやすさ、環境配慮、話題性まで含めて商品価値が決まる。「まっぷたつ?パフェ」は、満足感を減らさず、物理的な量だけを減らすという、新しい豊かさの形を示した商品とも言えそうだ。
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