【考察】神戸屋はなぜリブランディングで“スイーツ感たっぷり”のパンを展開するのか 創業108年で迎える新たな転換期

ショーケースに並ぶ「窯出しプリンデニッシュ」イメージコラム
ショーケースに並ぶ「窯出しプリンデニッシュ」イメージ
ショーケースに並ぶ「窯出しプリンデニッシュ」イメージ
ショーケースに並ぶ「窯出しプリンデニッシュ」イメージ

 創業108年の神戸屋が、約40年ぶりにコーポレートロゴを刷新した。新たに掲げたステートメントは「Be Playful」。8月20日には、その世界観を体現する第1弾店舗として「神戸屋キッチン アトレ恵比寿店」をリニューアルオープンする。

【実食レポ】神戸屋リブランディング記念の新商品「窯出しプリンデニッシュ」大胆なプリンはクラシカルな味&苦めのカラメルソース付き

 なぜ、神戸屋は今変わるのか? その背景として見逃せないのが、2023年の包装パン事業譲渡だ。同社は現在、冷凍生地事業と直営事業に経営資源を集中させ、新体制を「第二の創業」と位置付けている。

 これは単なる事業整理ではなく、消費者と神戸屋との接点が変わったことを意味する。包装パンを広く流通させるメーカーから、店舗を通じてブランドを直接体験してもらう企業へ。そう考えれば、ロゴや店舗空間、スタッフの装いまで一体的に刷新する今回のリブランディングは、新しい会社像を消費者に伝えるための必然的な動きにも見える。

ショーケースに並ぶ「クリームに溺れるシューデニッシュ」イメージ
ショーケースに並ぶ「クリームに溺れるシューデニッシュ」イメージ

 そして興味深いのが、その新しい神戸屋を象徴する商品の1つとして、スイーツ感の強いパンが前面に押し出されていることだ。

「窯出しプリンデニッシュ」イメージ
「窯出しプリンデニッシュ」イメージ

 アトレ恵比寿店では、リブランディング記念商品として「背徳の溺れバター塩パン」をはじめ、「クリームに溺れるシューデニッシュ」「窯出しプリンデニッシュ」などを展開する。プリンを大胆に乗せたり、カスタードクリームを大量に絞ったりと、その姿は従来のベーカリーの商品というより、スイーツ専門店の商品に近い。

「クリームに溺れるシューデニッシュ」イメージ
「クリームに溺れるシューデニッシュ」イメージ

 ここには、神戸屋が掲げる「Be Playful」との強い結び付きが感じられる。同社は、現代の顧客が求めるものについて、味わいだけではなく、商品の背景にあるストーリーや暮らしを彩る楽しさ、ブランドの世界観があると説明している。

「窯出しプリンデニッシュ」イメージ
「窯出しプリンデニッシュ」イメージ

 パンにプリンを乗せる。クリームをあふれるほど詰める。「溺れる」、「背徳」といった言葉を商品名に使う。こうした商品は味覚だけではなく、見た瞬間の驚きや選ぶ楽しさまで含めて商品化しやすい。SNSで写真を共有したくなるビジュアルも含め、「遊び心」という抽象的なブランドメッセージを消費者に最も分かりやすく伝えられるのが、スイーツパンなのだろう。

「窯出しプリンデニッシュ」イメージ
「窯出しプリンデニッシュ」イメージ

 一方で、プリンデニッシュにはクラシカルなプリン、シューデニッシュにはデニッシュ生地やカスタードクリームが使われるなど、奇抜さだけを狙った商品でもない。ケーキニュース編集部の実食でも、カスタードクリームの完成度やデニッシュ生地との一体感が印象的だった。

 100年以上培ってきたパン作りを捨てるのではなく、それを土台に新しい楽しさを加える。神戸屋が進めているのは、「老舗ベーカリー」というイメージを壊すリブランディングではなく、そのイメージを次の時代へ広げる試みなのかもしれない。

 包装パン事業の譲渡から3年。神戸屋にとって2026年は、会社の中身を変えた次に、消費者から見える姿を変える段階に入った年と言えそうだ。

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