
コメダ珈琲店の看板商品「シロノワール」は、1977年2月の発売から2026年で49年目を迎えた。温かいデニッシュパンに冷たいソフトクリームをのせる基本形は、半世紀近くにわたって受け継がれている。
【実食レポ】上島珈琲店:14年間愛され続ける大人スイーツ「ジャマイカンラムボール」熟成ラム酒&濃厚な味わいの余韻に浸る新商品が頻繁に投入されるカフェ市場で、同じ商品がこれほど長く残るのは異例だ。では、スイーツは何年間販売されれば「ロングセラー」と呼べるのだろうか。
明確な業界基準はない。ただ、一つの目安として「10年」が考えられるのではないだろうか。
企業の世界でも、創業から10年存続すれば、一人前の会社として見られることがある。景気や競争環境、顧客ニーズの変化を乗り越え、事業を継続してきた実績が認められるためだ。スイーツも10年間売り場に残れば、一時的なヒットではなく、複数の流行を乗り越えた定番商品と捉えられるのではないだろうか。

「シロノワール」の強さは、ただ同じ商品を守り続けてきたことだけではない。デニッシュとソフトクリームという核を残しながら、季節の果物、抹茶、チョコレートなどを組み合わせた期間限定版を数多く投入してきた。菓子メーカーや人気ブランドとのコラボレーションも繰り返され、数え切れないほどの変化型が登場している。

基本形は変えず、ソースやトッピングを変えることで、定番としての安心感と新商品としての話題性を両立する。49年間売れ続けてきた背景には、「変えないこと」と「変え続けること」を同時に実践できる商品の構造があるのだろう。

10年を超える例としては、上島珈琲店の「ジャマイカンラムボール」もある。2012年の発売から14年間販売されており、ジャマイカ産ラム酒やレーズン、イチジクを使った濃厚な味わいが特徴だ。万人向けとは言い切れない大人向けのスイーツでありながら、ほかでは代替しにくい個性が支持されてきた。

同店の「アーモンドとバターのザントクーヘン」も、長年親しまれてきた焼き菓子だ。アーモンド入りの生地、塩味を効かせたバタークリーム、ほのかなラム酒の香りが、コーヒーを飲む時間と結び付いている。

1996年に発売され、今年30周年にあたるドトールコーヒーの「ミルクレープ」も、クレープ生地とクリームを重ねた基本構成を守りつつ、原材料や製法を時代に合わせて見直してきた。ロングセラーとは、何も変えずに保存される商品ではなく、客の記憶に残る中心部分を守りながら、細部を更新していく商品ともいえる。
定番商品を残せば、メニューが固定化し、新商品を入れる余地が狭くなる可能性もある。一方、客にとっては「久しぶりに店を訪れても、あの商品がある」という安心感になる。企業にとっても、商品名だけで店を連想してもらえるブランド資産となる。
49年目の「シロノワール」は、1つのスイーツを10年以上維持し続けるための道筋の1つを示している、と言えるのかもしれない。
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