
8月は暦の上では夏真っ盛りである。しかし、スイーツ店のショーケースを眺めると、桃やマンゴーに交じって、ブドウやイチジクを使った商品が少しずつ増え始める。まだ暑さが厳しい時期に、なぜ早くも“秋の果実”が登場するのか。
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例えば「キル フェ ボン」が8月1日から順次展開している夏季メニュー第3弾でも、桃やマンゴー、メロンなどの夏らしい果実に加え、ブドウやイチジクを使ったタルトが並ぶ。島根県産のブドウ「神紅」や岡山県産「晴王」シャインマスカット、福岡県産イチジク「とよみつひめ」など、産地や品種を前面に出した商品も目立つ。

理由の1つは、果実の出回る時期にある。ブドウは品種によって夏から秋にかけて収穫期を迎え、8月には市場への出荷が本格化する。イチジクも夏の終盤から秋にかけて存在感が高まる果実だ。つまり、8月は桃やマンゴーがまだおいしい一方で、ブドウやイチジクも旬へ入り始める“季節の重なり”の時期なのである。
スイーツ店にとって、この重なりは商品構成を切り替える好機になる。すべてを一気に秋仕様へ変えてしまえば、猛暑の中では重たく見える可能性がある。そこで、桃やマンゴーといった夏の主役を残しながら、ブドウやイチジクを少しずつ加える。客は強い季節変化を押し付けられることなく、ショーケースの色や果実の種類から、秋の接近を感じられる。

特にブドウは、瑞々しさや透明感があり、暑い日にも涼しげに見せやすい。イチジクも落ち着いた赤紫色を持ちながら、クリームやカスタードと合わせれば重くなりすぎない。どちらも秋を連想させる一方、夏のタルトとして成立しやすい果実である。

販売面でも、夏の終盤は難しい時期だ。桃やマンゴーだけでは、初夏から続く商品展開に既視感が出やすい。一方、本格的な栗やカボチャの商品を出すにはまだ早い。ブドウとイチジクは、その空白を埋める“季節の橋渡し役”になれる。
スイーツの季節は、気温や暦だけで区切られているわけではない。旬を迎える素材を少しずつ入れ替え、次の季節を先に見せることで動いていく。8月のブドウとイチジクは、秋商品そのものというより、長い夏に変化を与えるための小さな予告編なのである。
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